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伝説の魔物使いが死んだ後の世界がマジでヤバい  作者: しら玉草
第1章:ハイドロゲンスライム
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VSスライムその後

間が空きまくって申し訳ないです!

今回でスライム編は終了となります。


 ……… ……… …… …



 マヒルの方が重傷だったのに回復が早い、獣人はズルいと思う。

 自分より重傷だった女の子に看病される俺。

 まぁ、格好は悪いがマヒルに優しくされるのは正直役得かもしれない。


 小魔王スライムを討伐したのだから報酬で10万カッパーもらえるはずだ。そんなにもらえるのなら、とマヒルが回復薬を奮発して買ってくれた。

 それでも回復には丸3日を要することとなった。

 どうやらこの世界の回復薬は瞬時に回復するような類の物では無いらしい。


 それを聞いてみたら返ってきた答えがなんとも恐ろしい。


「え?あるにはあるにゃよ?エリクサーとか。でもおすすめはしにゃあよ」


「なんで?」


「体の組織を瞬時に造り出すに、傷んだ細胞が千切れ落ちて激痛を伴い新しい骨と肉がグチャグチャと…、精神的にもキツいにゃよ?」


 なるほど、何と言うか…聞きたくなかった、想像するだけで頭がおかしくなりそうだ。


「うぇ…、まじかよ…、てか詳しいね…」


「おっとおが昔ちょっとね…」


「ああ、例の…、お義父さんはライオルト族の英雄だって言ってたもんね」


 さぞや立派なたてがみが生えていたのだろうな。

 そしてさりげなくお義父さんと言ってみる、まぁ、言葉のニュアンスなど伝わるまい。


「高価な上位の回復薬でも飲み続けとーとだんだん心が病んでいくらしいに、気を付けにゃあとあかんよ?一種の依存症とも言われとぉ」


「こわ!」



 とか言いつつマヒルはその高い回復薬とやらを自分の右足に直接打ち込んでいたような。

 見てたよ?ラベルの違うお薬を注射器で打ち込んでたの。


「ねぇ、マヒルが右足に…」


「え?何のことかにゃあー、わかんにゃあなぁー」


「…」


 マヒルの顔をじっと見つめる俺、嘘は良くない。


「……えへ、アサヒはやっちゃダメにゃよ、せめて飲むこと。注射は獣人がたまにやる荒療治みてゃーなものだと思って欲しいに」


「やるとどうなるの?」


「……ふふふ」


「こわ!」




 と、まぁ。そんな感じで体を治して今に至る。


 ギルドに着くまではお金の使い道などを相談しながらマヒルと楽しくお喋りしていた。

 服が買いたい、武器を買いたい、欲しい物は大抵手に入る程の大金に胸を踊らせていた。





 ギルドに付いた俺らは受付嬢が座るカウンターにスライムの核を並べていく。

 そして最後に勿体振って小魔王スライムの核を置く。精一杯のドヤ顔も完璧に決まった。


「さぁ、鑑定よ・ろ・し・くぅ☆」


 俺が小魔王を倒した英雄なんやで?そんなふてぶてしい態度も許される立場にあるのだ。


「は、はぁ…、えーと、スライムの核28個ですね。28カッパーになります」


 引き出しから硬貨を取り出し並べる受付嬢。…あれ、おかしいな。

 俺の予想では慌てた受付嬢がギルドのマスターに相談しに行って奥の部屋に連れて行かれる感じのを想像してたんだけど?引き出しから小銭出して終わり?


「え?…あの、28?ほんとにぃ?良く見てよ。100027カッパーでしょ?」


 俺がそう言うと受付嬢はやっと合点がいったのか納得顔だ、良かった、手違いに気付いてくれたようだ。…それにしてはこっちを見る目が冷たいな。俺は英雄だぞ?おん?


「たまにいるんですよね、こういう人。困るんですよ」


「へ?」


「普通のスライムの核を小魔王のだって言ってくる人」


「ええええええええええ!?」


「しつこいようなら冒険者登録抹消してレッドリスト入りですからね!」


「いや!良く見てよ!それほんとに…」


 食い下がる俺を制すようにマヒルが前に出て小魔王スライムの核だけ回収した。



「いやごめんにゃあ、スライムの核27個で換金お願いするに」


「え?」


「証明できにゃあし…、揉めるのは不味いにゃ」



 27カッパーだけ受け取り外へ出る、当然納得のいかない俺は脹れっ面だ。

 マヒルは小魔王スライムの核を見ながら溜息をつく。


「アサヒが言ったに、あいつは進化前のただのスライムにゃって…」


「………あ」


 気付いてしまった。俺はマヒルと目を合わせる、マヒルも渋い表情だ。

 そう、小魔王スライムが落とした核は普通のスライムの核と見分けがつかない。というか同じ物だった。特別感を感じていたのは当事者である俺とマヒルだけ。


「「はぁー」」


 今度は二人して大きな溜息をつく。まさか小魔王からのドロップアイテムが普通のスライムと同じだなんて、確かに証明のしようがない。


「ギルドの人に小魔王スライムが本当にいなくなった事を確認してもらうとかは?」


「それは私達が倒した証明にはならにゃあよ」


「「はぁー」」


 溜息をつくと幸せが逃げる?違うね、幸せが逃げたから溜息が出るんだ。

 俺もマヒルも金をほぼ使いきってしまった。もう宿に泊まる金も無い。


「次の町…行こうか」


「…だ、次はどこ行くにゃ?」


「ん、待って。聞いてみる」


「…誰に?」


「………ちょっと待っててね」



 俺はマヒルから離れて路地裏へ。マヒルは付いてこない、出来た女ですこと。



「おい、アーミャ!応答してくれ」


 俺をこの世界に連れてきた天使さん。姿は現さないが話かければ答えてくれる。


『はいはーい、どしたの?』


「小魔王スライム倒したぞ」


『え、ほんとー?良いペースだねー。私の目に狂いは無かったねー』


「良く言うよ、蔑んだ目と見下す目と可哀想な物を見る目しか覚えて無いよ」


『良く言うよ、私の上目遣いでときめいてたくせに』


「うぐ!」


『はい論破ー。あははー』


 あれは確かに可愛かった、心臓撃ち抜かれた。あの時の俺を殴って目を覚まさせてやりたい。本当の天使はその後に出会う獣人の女の子だと教えてやりたい。



「で!次はどこ行けば良いんだ?」


『え?適当に近い町で良いんじゃない?どうせ路銀無いでしょ?』


「かっる!……ん?なんで路銀無いこと知ってんだ?」


『………なんとなく』


「あ!さては小魔王スライム倒しても金にならない事知ってやがったな!」


『…黙秘権を行使するよ』


「こいつ…、せめて一番近い町の名前とか教えろよ」


『湿地と沼地に囲まれた場所、ダイザミだよ』





 マヒルの所へと戻り次の町がダイザミという町である事を伝える。


 そして無一文は流石に不味いのでスライムを乱獲した。

 もう小魔王はいないのだ、1匹1カッパーのスライム取り放題なのだからかなり美味い。


 …そう思わないとやってられなかった。



はい、スライム倒しても富も名声も手に入らず。

次の舞台は湿地です。さて、どんなモンスターが出るでしょうか。

次の小魔王にもご期待ください。

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