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防具を奢る

「いっぱいお店があるなぁ」


どこを見てもどこかのお店の看板が見えるぐらい立ち並んでいる。


「おっと、そうだ。防具屋はどこだ」


色々目移りをしてしまうような店があるが、今回は防具を買いに来たんだった。


「お兄ちゃん、こことかどう?」


「ん?ああ、魔道具系の防具みたいなのか」


外から見た感じ服みたいなものしか見えなくて、服屋に見えたけど、外の壁にかかっている看板には剣に攻撃されている絵が書かれている。

服みたいな防具なら動きやすそうだしいいな。


「入ってみるか」


ゆっくりドアを開け店内に入っていった。


パッと、目についたのは何かカラフルなデザインをされた服だった。


「おおぉ」


「何、その声」


「いや、すごい服だなって思ったから、つい」


「すぐ見て回ろう、あっちとか」


「おう」


横を通るときちょっと、値段が気になったからちらっと見てみると、『10000 reney』


「すげぇ」


今までこの世界で見たものの中で一番高いぞ、この服。いや、防具か。


まあ防具なら、色々ついてるんだろうなと考えながらアクイレギアの元に向かった。


「お兄ちゃん、これとかどうかな」


手に白いブラウスのようなものを持って聞いてくる。


「いいんじゃない?」


「えぇ、なんか適当だね」


「そうか?」

「うん」


こちらが尋ねると同時に首を縦に小さく振った。


確かに適当に返事をしてしまった。


「じゃあ、もう少し真剣に考えるか」


なんにも考えなかったら、戦い方を見てた意味がないしな。


アクイレギアが、持っている服はあまり装飾がついていなくて動きやすそうだ。見た目も控えめにフリルがついているからいいと思う。ただ、


「なんか、汚れが目立ちそうだな」


「お兄ちゃん、なんでそこなの?」


小さく息をもらし、服を押し付けてきた。


「いや、真っ白だったからつい」


「ゲームだし汚れないでしょ」


「そうかなぁ」


現実世界とあまり差がないように見えるから汚れがあると思うんだけど。


「これとかもどう?」


真ん中にうさぎのようなの絵が書かれているTシャツのような黒い服だ。


「動きやすそうだな」


「でしょ?うさぎが書かれているし」


「そんな理由かよ」


「そんな理由だよ」


「そういえば防具がどれくらいの強さなのか聞いてないな」


「そうだね、聞いてみるよ」


そう言って、店員さんに聞きに言った。




しばらくして、店員さんを連れてきた。


「一緒に聞いたほうがいいかなって思ったから連れてきたよ」


「ありがとう。気になっていたから嬉しい」


店員さんが、こちらの会話が終わるまで待っていた。


「じゃあ、説明しますね。まず、服をこちらへ渡してください」


出してきた手に白いブラウスを渡した。


「こちらの商品は、魔法の威力上昇のために魔法をよく通す植物を使っています。あと、あまり強くはないですが衝撃を分散させる魔法陣が組み込まれています。魔法をよく使う人におすすめです」


「へぇー」


次に、Tシャツを手に取り、


「これは、魔法を通しやすい植物を使って、強い衝撃を分散させる魔法陣が組み込まれています。その代わり、他の機能はありません。あっ、少し身軽になる魔法陣があるのを忘れていました。すいません。

使用方法ですが、最初のうちはこのシャツでもうまく戦えると思います」


「ほぉー」


わからないな。かばんのときもだけど。


「値段はどちらも、500reneyです」


「お兄ちゃんどうする?」


こちらを向き、尋ねてきた。


「黒いシャツのほうがいいんじゃないか?」


「そうだよね」


聞く前から決まっていたのか、細かく縦に頭を動かしている。


「じゃあ、この服をください」


「ありがとうございます、あちらのカウンターでお金を支払ってください。もう一つの方は私が戻しておきます」


「ありがとうございました」


色々教えてもらったから、お礼を言っている間にアクイレギアがもうカウンターにいた。


「お兄ちゃん、早くおごって」


「待ってて、すぐ行く」


少し待ってもらって最後に一つ店員さんに聞きたいことを聞いておこう。


「あの、最後に一つ聞いてもいいですか?」


「はい」


「その、服に使われている植物ってどんな名前で、どこが産地ですか?」


「え〜っと、植物の名前は、マギバオムヴォレで、グーヴァルトだった気がします」


「ありがとうございました」


「またのご利用をお待ちしています」


聞きたいことは聞けたし、あんまり待たせないように早く行って奢らなきゃ。

ありがとうございました。

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