第3話 もう一人の恋人
4ヶ月の沈黙を破って、ついに新話が公開されました。
長らくお待たせして真に申し訳ございません。
・主人公ナレーションパート
これは私が小学校高学年の夏の物語。
その時期は生理の時期であり、恋に目覚める時期だ。
当時の私にも、恋人がいる。
今年度にて私と同じクラスになった、七海 海人君だ。
彼は黒髪のショートミディの男の子だ。
彼は私とよく付き合ってくれた男の子である。
そして夏休みに入った。
私と彼は、親の許可を取って、列車に乗って竹野(兵庫県豊岡市にある地区)の浜に行った。
勿論、その浜で水着姿になって海で泳いだ。
しかしそれだけでは飽き足りず、近くのホテルの中にも入った。
そのホテルの名前は、シーサイドなんちゃらというものだ。
大人になったら、そのホテルで私たち2人だけでも泊まれるだろう。
今泊まれたらもっと楽しいのに…。
私たちはロビーの椅子に座り、日本海を一望して話をした。
海人「小学生でこんなことをするのは楽しいかい?」
私「小学生だろうと関係ない。風景さえ良ければそれでいい。」
海人「観鈴…。」
私「お土産、買っていく?」
海人「お金に余裕はあるかい?帰りの汽車賃の分もお金を残しておかないと。」
私「私を女の子だからと言って馬鹿にしているんでしょ。」
海人「…。冗談みたいなことを言うけど、このホテルで俺と一緒に泊まらないかい?」
私「泊まれたら楽しいけど、泊まるためのお金はあるの?私はそんなにお金に余裕がないけど。」
海人「泊まるためのお金はないよ。大人になったら、たくさんお金が貰えるんだ。」
竹野は私たちの自宅からそんなに遠い地区では無いということで、お土産は買わないことにした。
そして私たちは、ホテルの中の喫茶店に行き、そこの椅子に座った。
コーヒーは私たち小学生が飲むには早いということで、紅茶を頼んだ。
そして私たちは紅茶を飲んだ。
周囲の大人たちは、私たち2人が喫茶店の椅子に座って紅茶を飲んでいるところを、驚きながら見ていた。
海人「楽しい、小学生で2人で喫茶店で何か飲むのは?」
私「まあね。」
それから、私たちは竹野駅に行き列車に乗った。
海人「俺の秘密、教えてあげようか…。」
私「どんな秘密?」
海人「実は俺、医者から長く生きられない体と言われたんだ。」
私「え…!?」
海人「でも今日は、竹野でお前と一緒に行動出来て楽しかったぜ。」
私は、残りの命が短い彼といい思い出を作るべく、明日も明後日も彼と一緒に行動した。
・作者ナレーションパート
夏休みの末期、海人は他界した。
観鈴は、彼の分も生き、新たな恋人を見つけ、大人になってその恋人と結婚しホテルで2人で泊まろう…、そう決意したのだった。