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第2話 水着の恋人

・主人公ナレーションパート

私は神尾(かみお) 観鈴(みすず)

残り少ない命だけど、それでも最期の夏を思いっきり楽しもうとしている。

そんなわけで、三田浜(みたはま)という海水浴場にやってきた。

私は余命が少ないからと言って、海水浴をドクターストップされていない。

なので思う存分泳げる。


大勢の親子や恋人同士が楽しそうに浜辺をエンジョイする姿。

彼らは来年の夏も楽しく泳ごうと思っているだろう。

だけど私には来年の夏がない。


恋人同士でエンジョイ…。

私は国崎(くにさき) 往人(ゆきと)くんが好きだ。

もう一度、会えるかな…。


そう思いつつ、水着姿になって、浮き輪を使わず泳ぐことにした。

しかし泳ぐのは、売店がある南の方の浜からではなく、キャンプ場の近くである北の方の浜からにした。

南の方の浜の売店には私のお母さんである神尾(かみお) 晴子(はるこ)がいる。


そう言いつつ、水着姿の往人くんに会えた。

往人「また会えたな。」

観鈴「うん、そうだね。」

往人「今日は何をしたいのだ?」

観鈴「泳ぐ前に、近くの民宿の近くの道を通った先に行ってみようよ。」

往人「まあ、それもいいな。」


私は彼と一緒に、近くの民宿の近くの道を通った。

どこに続くのだろう。

たどり着いた先は、海を眺められる展望台だった。

私たちはその展望台の椅子に座った。

往人「何かいいものがあると期待していたかな?」

観鈴「別に…。」

往人「関係ないことを聞くけど、もし命がもっと長かったら、何がしたい?」

私はその質問に答えられなかった。

恥ずかしい答えを言おうとしていたのだから。

往人「そんな恥ずかしがらなくてもいいのだぞ。俺をお婿さんにしたい、そう言いたいんだろ?」

観鈴「…」

往人「ったく、お前ってやつは。」


そして私たちは、キャンプ場の近くの浜に行った。

でも私は海に入っても泳がず、肩まで海水に浸かった。

往人「泳ぐのではなかったのかい?」

観鈴「どうして泳ぐのかなと思って…。」

往人「泳ぐの見せてやろうか。…でも恥ずかしいからやめた。こっちもお前と同じことをしよう。」

往人くんも、肩まで海水に浸かった。

往人「こうしていると、俺とお前、混浴しているようだぞ。」

観鈴「そうだね。」

往人「俺と混浴している気分になりたくて、泳がずそんなことをしたのか?」

観鈴「そうじゃないよ。」

往人「…そうか。」


それから私たちは、砂浜に上がり座りながらアイスクリームを食べた。

往人「俺のおごりのアイスクリームは美味しいか?」

おごりであっても無くても変わらないだろ…と言いたいところだが。

観鈴「うん、美味しい!」

そう答えた。


観鈴「お母さんが心配しているかもしれないから、今日はここでさよなら。」

往人「じゃあな、また会おうな。」


私は、売店のある南の浜に戻った。

お母さんは何も文句を言わず、楽しかったかと言ってくれた。

そして私服に着替え、家に帰ろうとしたとき、カラスに変身した往人くんが私の手に留まった。

晴子「何や、そのカラスは。」

観鈴「何も文句あらへんやろ、いいカラスや。」

そうするとそのカラスはどこかに飛んで行った。


それからカラスになった往人を、「そら」と呼ぶことにした。


そらは、どこに飛んでいくのだろうか。

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