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わたしのはなし  作者: かじき
3/7

3。

よろしくお願いします。

3。


自宅の最寄り駅に着いた私は、

菜緒に手を振って、地下鉄を降りた。

改札を抜け、階段を上がる。

外に出ると、

ほろ酔いの頬に夜風が心地良い。

私は家に向かって歩き出した。


アパートの自室に入って鍵を閉めると、

颯爽としていた女(偏った自己評価?)の纏う空気が

一変した。

重くなったのである。

「つっかれた~。」

纏う空気だけでなく、

動きさえも重みを増した智夏は、

それでも床に散らばるあれこれを上手く避けつつ、

テーブル横の座布団にたどり着き、

そこに座り込んだ。

そう。

智夏は、喪女というか、枯れ女というか、

干物女というか、とにかく残念なのである。

中学生の頃から男嫌いで男性不信で、

仕事では割り切って接することができても

プライベートでは一切関わりたくない。

つまり、どう転んでも、

一人暮らしのこの部屋に

男を連れ込むことはあり得ない。

そして、疲れた身体を酷使して

部屋を片付けたり掃除したりする必要はない、

と思っている。

ホコリで人は死なないのだ!(多分)

という訳で、智夏の部屋は、

いわゆる汚部屋状態である。

例外といえるとすれば、

今座っている座布団と

その目の前のテーブルの一角

(ご飯を食べるスペース)、

冷蔵庫の中(そもそもあんまり物が入っていない)、

ベッドの上(寝るスペース)、

お風呂とトイレ

(物を持ち込む場所ではないと思っている)、

そして玄関(人目に付く可能性がある)。

五大聖域と呼んでも過言ではない。

あと、救いがあるとすれば、

虫嫌いの為、

ヤツらが侵入する危険を回避するべく、

食べ物関係のゴミはきちんと処理して

ゴミ出ししていることくらいだろうか。


座り込んでしばらくぼーっとした智夏は、

ノロノロと立ち上がった。

着ていた服を脱ぎ散らかして、

その辺に落ちていた部屋着に替える。

友達と出掛けたり、食事するのは嫌じゃない。

けれど、疲れるというのも本当。

シャワーを浴びたい気もするが、

明日は休みだし、めんどくさい。

結局パジャマに着替えて、

化粧だけ落として、

ベッドに向かった。

欲望の赴くままの人生である。

お読み頂きまして、ありがとうございます。

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