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だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
ガルド領・教会編
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11日目 複雑化

 ルマンドで得た話の中で一番気になるのはマリエッタの生死だ。教会の人間はなかなか腐っていると思わせる話である。残念なことにマリエッタ探しは鐘を壊した影響で今は近づくことができず、むしろあれのどさくさのせいで殺されていたらどうしようかと焦ってしまう。しかしながら明日まで手は出せない。

 他のことが手につかないというのは良くないことだとわかっている。簡単に人を殺してしまうアランの中身がいつレイナードも消す気になってもおかしくない。できることは解決スピードを上げることだ。

 難しい顔をしているメヌールはおそらく時刻(とききざ)みの歯車をバーク家に納品したことについて考えている。どういう物がどういう人に渡ったのか。纏まっていなくてもわかる範囲で聞いてみる。




 時刻みの歯車は単体ではなく更に複雑な魔道具を作る部品で、出来上がった魔道具は本来教会の必須備品だという。魔道具の名は聖域の結界。教会関係者を闇汚染から守るものだ。

 それって領都教会にあった奴では? 闇汚染を五分くらい毎に弱める石柱。形状などを話してみるとまさにその物であった。ついでにメヌールの教会にも室内に設置してあるそうだ。

 どう考えてもプラスのイメージを持つ魔道具部品だが、アランがバーク家を助けるようなものを横流しするのはおかしいと言う。中の人との関係が宜しいのでしょうと返すと中の人との関係も良くなかったようだ。


 バーク家はアランの親戚だが仲が悪い。アランが教会に入る時、両親は跡継ぎの形で送り出すことを望んだ。最初の候補は王都のアデン大教会だったが、そのアデン大教会の養子入り話を横入りする形でバーク家の息子が入る。仕方無くアランは実家や家族と引き離されて母の弟ロバートがいるガルド大教会に行き養子になった。この段階でアランの実家はバーク家を恨んでいる。

 今度はバーク家からアデン大教会へ養子にいった人物が成人前に何者かに魔法を焼き切られる事件が起きた。バーク家は自分達を恨んでいるアランの実家がやったのだと恨みの両思いが出来上がる。

 その後の両家の仲の悪さは有名で、アランもバーク家の男子を子ができない体にする指示を出していることが表にでた。証拠不十分で無罪になったが子爵夫妻の成婚後、つまりマルコムが入れ替わっているとはっきりいった時期以降の行動になる。血筋を根絶させようとしておきながら贈り物が受け取られている不思議。しかも不正な経路で手にいれた部品であって魔道具でもない。


 確かに意味がわからない。メヌールの考えでは呪いがこの部品に絡んでいる。どちらも五分毎という共通点があるからだ。だから尚更アランではなくてバーク家にいったのがわからない。協力関係がなかったのに急にできるなんてあれはポーズだったのか新たに第三のアランでもわいたのか。

 アランの中身が他にもいたらもうお手上げである。呪いの謎は少し近づけたかもしれないが、肝心のアランの中身がわからない。


「のう、ハラーコ。マルコムにやったように昼間の中身が違うアランにドンカチャをかけてお前は誰だで返事はこないのかのう?」


「それは無理です。脳や記憶媒体を狂わせて回答を得ているから。そこに術者の脳はないのでかかる場所がありません」


 気憶の閲覧も催眠術もこの系統だ。脳から読み取るとしか私にはイメージできない。しかし直接情報を引き出すのはシンプルで悪くない方向だ。たとえば幽霊が憑依しているのなら幽霊の記憶や意志がどこにあるのか探れば直接情報を引き出すことも可能になる。同じように操られている状態はどこからどういった形で意識を重ねているのかわかれば術者の意識を読み取れるはずだ。


「鈍感ちゃんは無理ですけど、中身の違うアランに近付くのは悪くないと思います。操るための糸を見つけて辿れば術者の脳に繋がる筈です」


 喋り、動き、中身の指示を出せているのだから。芸の細かさからしてコントロールに人の意志が入っていないわけはない。アランにはこんな感じで動けなんて指示を受けた記憶もなく全てを奪われているのだから。


「明日の朝アランに会いに行きます。そこでかなり進むでしょう」


「わかった。そろそろ日没じゃな。どちらも解決を急ごう」


 次の仕事に頭を切り替えて私とメヌールはカルアの隠れ家に転移する。解決はしていないが少しずつ正解に近づくルートに入ってきただろう。

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