1日目 本日の営業は終了しました
彼らアデン北軍のお兄さん(笑)と監視小屋についた後は「手続きは明日でいい」と涙目で流民保護小屋に押し込まれてしまった。
大人数がこの難易度の高いルートで山越えするなんて思ってないせいか軍人のお兄さん基準でみっちり四人が川の字になれる程度の部屋が3つ程ある小屋だ。
長屋なんだろうが狭すぎる雑すぎる掘っ立て小屋はイベント用の公衆トイレのようでもある。
なんとなく左の扉をあけると想像通り真っ暗で杖先を光らせてお邪魔することになった。二段程の小さなボックス型の棚とその上に蝋燭、床には畳まれた毛布が二枚。振り返った扉には内鍵用の木製つっかえ棒がある。閂と呼んでいいのか微妙な線の軽さ細さであった。
数時間で日が昇るだろうがここで私には課題がある。ズバリ旅人必須の通行証だ。
ボブが言うには各国各領が発行するので見たところで真偽なんか一兵卒にわかるわけないらしく、詰所にあるチェッカーという魔道具で読み取りと記録、ついでに照会もするとのこと。通行証自体も簡単な魔道具で出入国が記録されるそうだ。なんていうかクレジットカードの機能で管理するパスポートだと思えばいいのか。
概要はわかったのだが結局偽造するための見本もなければこの国の文字もまだ把握していない。ついでに素材形状もである。
見本がないことについてレイがこんな数人しかいない場所まで見本つくる予算はないよというコメントをしていたのでちょっと以上お高いことと軍人は個人でも所持できないことが知れる。
「となればまた鈍感ちゃん頼みなのか」
チート生活は丸で詐欺師人生である。