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だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
ガルド領・教会編
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5日目 魔女狩りかよ

 ベッチーノも言っていたがダークエルフというものはこの世界ではファンタジーである。ついでにヒューマン以外も住む大陸で特定種族だから罪、なんて幾らみんなが虐めているダークエルフちゃんだからと言っても外聞が悪い。なので軟禁になる。


 そもそも何故ダークエルフ容疑がかかったかといえば「私の正体」を見ようとした者が出たせいらしい。

 女一人旅なんて無茶苦茶しているのもそうだが、ゾンビ発生とともに現れた余所者の私を疑うのは当然で、ベッチーノのように儀式をしたのはダークエルフという固定概念から疑いがはじまった。伝承にあるダークエルフの色のついた肌や耳などに幻がかかっているのなら、と鑑定の魔道具を職安から持ちだして私を見詰めた者の気が狂ったそう。つまり昨日のカイトと同じである。

 カイトと違いその人は周囲に軍人の供をつれて事前に何をするか伝えていた。そして誰も催眠なり記憶の封印なりできず、倒れた後もおかしなまま。その不幸な人はジル副部隊長の上司、部隊長様である。

 ジル副部隊長は部隊長がおかしくなったのも、何故至ったかも知っている。駐留部隊の指揮権が回ってまずしたのは私の正体を決して暴くなという命令だ。野放しにもできず、さりとて暴いてもならず。こうして彼は上に丸投げて見詰めずにすむようドリームハウスの外に軍人を置いていった。


 以上が、家の前にいる軍人さんから催眠術で聞き出した内容である。


 さて、どうしようか。

 このままだと領主預り拷問エンドか100日オーバーエンドとなる。もう逃げるしかないんじゃないかな?

 最悪の場合は逃げると決めたら気が楽になった。私の場合幾らでも方法があるというのが更に気を落ち着かせる。中途半端だった衣類作製をしながら鼻歌が出るくらいの余裕だった。通り越してテンションが上がったのかもしれない。


 鼻歌が段々古い曲になってきた頃、客がドアをノックする。ドアの向こうにいたのは一番縁のなさそうなメヌールであった。

 メヌールは少々面倒くさい性格だが教会の権威を守り、民のために自信をもって癒しを行う及第点の聖職者である。そんな教会の人間が疑惑とはいえダークエルフの面会とはちょっと意味がわからない。

 疑問の視線を受けたメヌールが中に入れろと催促をする。見張りの軍人さんも私と同じ顔をしていると思うが、彼が止めないのであれば入れなければならない。

 製作中のワンピースを寝台に投げて、テーブルを挟む。


「すみません、ここは借りていますが長く住むつもりも無かったのでうちには茶葉がありません」


「この辺りではヒラグの葉を炒って茶葉にする。その辺ですぐ生えるので半刻もかからん。本当に遠くからきたのだな……」


 茶を出さない攻撃はあっさりかわされカウンターを食らった。そんな適当なお茶だったのか! 家を出て葉っぱ摘みも軟禁の身でどうかと思うので魔法で白湯を出しておく。


「水に火の魔法か。村に来るときも異国の魔法ではあるが光の魔法を使ったと聞く」


 多分それは百ワットに光った私とカイトとモフ馬のことだろう。


「教会の教えでは水の神に造られたエルフは水の魔法しか使えず、風の神に造られた獣人は風の魔法しか使えぬ。ただヒューマンは全能の神アラムウェリオから造られた。そういうことになっている。希に混血により複数の属性魔法が使えるものも出るというが、光の魔法だけはヒューマンの血が濃くなければならない。光の神という神は生まれなかったのだ」


 そこまで言ってメヌールは白湯をすすった。光の魔法を使えたからヒューマンだろうという話なのだろうが、じゃあダークエルフはどうなのかを語っていない。


「ダークエルフは光を扱えないのでしょうか?」


「教義上はな」


 わかりやすいようなわかりにくいようなメヌールの話を纏めると、メヌール自身がダークエルフに会ったことがないので教義を信じるしかない。と、いうかダークエルフの存在自体が教会の話でしか見られず聖典に僅かにあるのみ。教会ではダークエルフという人種が存在する派と何かの災厄をダークエルフと書いたのでは? という派閥があるらしい。

 災厄派はダークエルフの記述である長い耳に黒い肌の部分から、闇に堕ちて肌が染まったか心根腐ったエルフが災厄を起こしたと解釈している。エルフとの外交関係があるのでダークエルフという別人種というのが主流だが。

 どちらにせよダークエルフは光の魔法が扱える神様が創造主ではないので、教会の人間にとってダークエルフという判断は下しにくいというご報告である。ものすごい遠回しだった。


「それでメヌール司祭様は私の釈放に?」


「違う。ダークエルフでないとなれば次はゾンビ発生源の容疑者だ」


 ですよね。純粋に村を守りたいか、守りを破られた失点の穴埋めかといったところであろう。


「そうはおっしゃいますがね、私だって困っているのですよ。ダークエルフもゾンビも知らず、流れ流され村に滞在して、怖い思いをしたあげくに容疑者です。泊めてもらった分の恩返しはしたいと思いますが、なんだかもうその次元ではなくなりましたし」


 メヌールに言ってもどうにもならないがね。


「私はゾンビが増えない確約があればそれでいいと思っていた。村長達もそうであろう。君が何者であろうが責任の所在が掴めなくなろうとそれだけで良い。だからベッチーノは君に直線尋ねたとも聞いた」


 どうやら私が軟禁のためジル副部隊長と退出したあと残りで話し合いがあったようだ。ベッチーノもメヌールも村長宅に泊まっているので不思議はない。

 ホラ村村長は領主様が来たときのために報告書を作り、ベッチーノはそれに連名でサインをしてから一度本村に帰宅予定。メヌールは王都・領都の教会に報告書という名のヘルプを送るために本村にある教会に明日の朝に帰るそうだ。


「私は先程話したように君がダークエルフとも思えぬし、容疑者であるとも思わぬ。ヒューマンが闇に堕ちぬとは言わぬが、光を使える者がダークエルフのようにゾンビを造るとなれば教会の者も作れる。すなわち、私も魔法を使える以上容疑者になるのだ。

 一見教会への攻撃に見えるが回りくどいし、今後の展開もある。故に君はただの物知らずと判断した」


 メヌールから見て私が犯人だと間抜け過ぎるそうだ。情況と願望が入り交じり理性ではないところの話になるが、一種の勘なのだろう。自分も容疑者一歩手前だからか攻めの態勢になったらしい。


「話を纏めるとだ、今回の件は教会にとって外に出したくない話であると同時に細かい聴取がはじまると都合が悪い。君の光の魔法を含めてだ。領主様が軍を連れてくる前に清めがはじまるかもしれぬ」


「清めとは?」


「村ごと関係者を焼いてしまうのだよ。何もかもを誤魔化すために」

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