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29日目 水鳥亭②

 エルフ料理を堪能した後、酒を頼んでみることにした。料理と違いこれは外から輸入した物だと伝統再現にはならないので店主な親戚がやっている酒造がメインのラインナップである。ローカル銘柄なんてわからないのでここからここまでという豪快なオーダーをだした。相席五人は帰宅は取り止めてこれも参加していくらしい。


「鬼の涙とか初めて飲むんだけど」


「じいさんばあさん金持ちなんだな! 高い酒ののみ比べとか最高です!」


「俺、昨日の騒ぎで精霊様に樽一杯飲み干すまで死ねないって祈ったからかもしれんわ」


「飲み過ぎたら死期早まるぞ!」


「一晩では無理だわ!」


 どうにも高い順でメニューに載っていたらしく飲む前から全員酔っぱらいみたいになっている。日頃常識をというメヌールも高いの? という顔をしているので国による平均収入の差かもしれない。大陸からきたと言ったので大陸収入に合わせて金持ちってことでいいや。


「煩いよ、未両替バカども。ほれ、順番は軽い奴からな。御来光、甘め、蜂蜜酒」


 男性店員がドンと卓に壺をおいた。放っておいても酔っぱらいたちが配ってくれるので楽でいい。


「御来光! 結婚式じゃないけど御来光!」


 会話を拾うにエルフの祝酒らしい。壺もカップも不透明なので正確にはわからないが茶系の色合いを感じる。見た目はただの液体だが喉を通過するとき軽い粘性を感じる酒だ。


「思ってたより甘くないですね」


「苦味の元はなんじゃろうな。薬のようなスパイスも仕込んでおるのかのう」


 アデンで出回る酒は大体が麦か果物のジュースが原料のさっぱりした酒である。気のないビールか薄いワインという印象。対してこの御来光という蜂蜜酒は健康のために飲む薬局でも見かけるあのお酒に似ている。そこまで強烈でなくとも漢方薬の味がするというか。料理と一緒に量を飲むものではなさそうだ。


「じいさんばあさんは大戦前に離れてるんだろ? これは昔の日ノ出のバージョンアップ版だよ。交易で入ってくる香辛料のが強いからそれに合わせて出た酒だ。若い連中の結婚式じゃ定番だがじいさん達がでてった後の新しい伝統だな」


 酒場で出される漢方酒に戸惑っていると酔っぱらいが解説に入ってくれた。昔からあるらしい薬と一緒につけた蜂蜜酒が輸入スパイスと合わさって今の定番らしい。開国を示す文化が示されたものみたいだ。


「それでも最近じゃ昔ながらのトットでつける蜂蜜酒は珍品だよ」


 トットってなんぞや。こればっかりは口頭で聞いてもわからないので酔っぱらいの脳みそからトットの参考資料を引いてみた。うん、見なきゃ良かった。黒く焼いた蜥蜴でつけてる。うわぁ、どんな黒魔術ポーションだよ。一人飲むのを停止すれば、この香辛料が合わない年寄りは多いからと残りをかっさらわれた。香辛料より大本があかんなんて言えない。


「ばあさんの方は御来光がダメならリリエットを飲みなよ。これは香辛料抜きの女性向けだ」


 勝手にコップを奪われた後は替わりを店員に頼んでくれた。親切なのだろうがもう何が出るのか怖い。

 持ってきてくれたリリエットとかいう酒はくる前に怖くて前情報を先に抜いておく。今度は生物の漬け込みはない。ファルシーラアリアの南の島でとれる木の実ジュースの酒だ。ほっとする。


「少し舌に粉っぽい?」


 漢方薬も入って無いのを確認したが舌がざらつく。木の実ジュース自体に残る後口のようだ。味はほのかに甘いくらいで薄い味とアルコール。


「アルコールがキツくなると粉っぽいのは無くなるけどな。けど刺激強いのばあさん辛いだろ?」


 アルコールに溶けるのだろうか? ざらつきは気になるが味が格段に飲みやすい。


 散々飲んだ後、締めにトットの粥を食べたらしいが全く覚えていない。妙に胃がすっきり、記憶がないのに二日酔いがないのはあの焦げた蜥蜴のお陰かもしれないがまた食べたいとは思えない素材である。

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