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だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
ガルド領・教会編
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3日目 日本人的宗教観

 日本人の宗教観というのはあれこれミックスされたものだ。輪廻転生は仏教だし、神の身許にいくなんていうのはキリスト教に近い。天の国や楽園なんて思想はキリスト教とイスラム教で、そんなものないというのは仏教もだしユダヤ教もだ。

 その宗教は詳しくないといいつつもあれこれ思想は知っている。お星さまになるという発想もまさにこれだろう。

 古代エジプトで信じていた記録があるそうだが、使い古された『星になった』という台詞を吐いた人間は別に全員古代エジプトの宗教信者ではないはずだ。各々違う宗教だろうがどんな宗教でもうまくミックスして整合性がとれる。だから使い古されている。

 星になったのは天の国に行ったともとれる。悟りを開いて娑場ではない所にいるともとれる。

 着地点はどこであろうと、宗教は人の心を慰める過程が大事なのだ。


「焼いた遺骸から煙にのって魂、精神や本質、肉体以外のその人がその人たらしめるものですね……それらは天に登って行きます。天に登った魂はその心を写すように光輝きながら地を見下ろすのです。そして生前愛した人や子孫を見守り幸せを願ってくれています。

 あなたのお父様はそれを願う人ではありませんでしたか? 今のあなたもお父様は見て下さっていることでしょう」


 精神的に寄り添ってくれる人が死者であったとしても、いるといないのとでは大きく違う。ましてや無償の愛を注いでくれる親であったのだから心の支えとしては最高級だ。

 聖人とかカウンセラーとか記憶にあるだけの優しさをめいっぱいこめる。テクニックであろうと真心であろうと救いたいという気持ちをこめられてるというだけで人は光を見れるのだから。

 席を立ち上がり彼女を抱き締める。心の中に両親が浮かんでいるかもしれない。擬似的に親に甘えて貰う。




 彼女の呼吸が落ち着いてから、見よう見まねでお茶のお代わりを出した。多くは語らなかったので後日訪ねてくるかもしれないが、今はすっきりとした笑みを向けてくれる。


「取り乱してしまい、すみません。

 最初、父が星になったと聞いて綺麗な存在になったのだな、と。それだけのことで、父はずっと独りなんだと思っていました。

 私を見てくれているんですね、遠く離れても」


「ええ、遠く離れても家族を想う気持ちはずっと変わらないでしょう。あなたがお父様を想えば、お父様も喜んでくださると思います」


 この後ジョセとクルトが迎えに来てくれるまで和やかに故人の思出話に耳を傾けた。

 人の心に干渉するというのは道筋を見せることである。その後の変化は本人の選択次第だと「私」は思う。

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