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だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
吟遊詩人編
198/246

25日目 腕輪の仕組み

 移動はできないが何かできることは無いだろうか。いや、ないな。基本的に私の仕事は魔力というより機動力だったのだなぁと新たな発見である。一応じわじわ劣化中の腕輪を見て思考をしたが、妖精ハントは多分ヒューマンしかできない武器であり、妖精と謎生物とダークエルフじゃ使えないと判明したので再度強襲するぞとはならない。

 あまりにも暇なのでもう何で拐われてきたんだこの人状態のディラン君の脳内からこの腕輪の詳細を探してみたが、下っぱだからなのか教会の流れなのか全然開示されていなかった。もう一度性悪妖精を捕まえるとしたら私たちではなくて魔法使い狩りを捕まえてきてやってもらうしかないのかもしれない。既に一度持ち帰って貰ったし、二度三度とやれば彼らの神話技能(正気を犠牲にして上がる超常現象のメタ推理力)が上がるななんて思考に飽きてきたのかよくわからないことが頭を過る。

 しかし何なんだろうなこの腕輪といい、大陸妖精といい。どいつもこいつも平和主義な私に対して非情すぎる。


 なんの成果もないがぐるんぐるん考えて待機しかしなかったがなんとかこうとか昼前になり腕輪は壊れて三人が飛び出してきた。


「おかえり三人とも」


 発狂コースだったら記憶封印してあげようと見ていたが、三人とも目を擦っていかにも寝ていました的な感じで服を軽く整える。大丈夫そうだ。


「妖精、一応中から調べたんだが」


 欠伸をしてからサンドラは腕輪の中の話をする。肉体も感覚もない感じじゃなかったっけと思ったが、真の姿が手足のないボールで感覚的に魔法でヒューマン偽装している私とは違い手足はあったらしい。魔法が使えないだけで足さえあれば歩ける空間なのだという。


「結構広かったんだが、何となく仕組みはわかった。あれは闇系の魔力を吸いとってる。吸いとりきる前に魔法ができない場所で拘束してはいるが、あの暗闇自体が吸いとられた闇系の魔法だな。安直に妖精捕獲器だと思っていたが、これ、ヒューマンがダークエルフの遺物を研究して作ったダークエルフ捕獲器みたいだぞ」


 それは物騒な代物で。ダークエルフではないが私とメヌールも闇系の魔力が搭載されているので引っ掛かるだけなのか。メヌールを見るとディランの上の腕輪を杖でつついていた。


「メヌールじいさん、端からみたらディラン君をつついているみたいです。何してるんですか?」


「全系統の魔法が使えるようになったからのう。腕輪が本当に闇系の吸いとりしかしないのかの実験じゃ」


 小さな火や水なんかを人の上に発生させている。焦げて濡れたディラン君の服はあとで修復しておこう。

 メヌールの実験結果はわかりやすく、杖先から出た謎の黒い影はするすると腕輪に吸い込まれた。


「しかし、これは次回から即破壊ができそうじゃな」


「といいますと?」


「闇系の回路をつけた高圧魔石を吸い込ませたら良い」


 メヌールは自分の魔法の袋から木箱と金属糸を取りだし、箱の内側に糸を配置して軽く溶かしてくっつけた。


「簡易的なものじゃ。ハラーコ、あの魔石のコピーをこの中に」


 あの魔石ってレイに売り付けまくった魔石だろう。とりあえず箱いっぱいに入れてみた。メヌールはそれを確認したら蓋を閉めてディランに投げた。


「ちょ」


 箱はディランにはぶつからず彼の上にある腕輪の一つにぬるっと吸い込まれる。大丈夫だったが失敗したら酷いじゃないか。


「ハラーコ、劣化スピードはわかるかのう?」


「はい、三人が入っているときくらいですね。同じくらい待てば壊れます」


「魔石の圧縮を研究すれば軽くなるし、今の箱もちゃんと設計して作るのでコピーして二つ三つと投げ入れれば直ぐに破壊可能じゃな」


 同じような箱をまた渡されたので魔石でいっぱいにした後、コピーしておく。メヌールはそれの蓋を閉めてはディランに投げつけるとあっという間に腕輪は壊れて、飛び出してきた箱も壊れて魔石がばらっと散らばった。


「う゛」


 呻き声が聞こえた気がした。サンドラは散らばった箱を確認、パトリックは魔石を確認してうんうん頷く。私だけ通じていない。


「ハラーコが吸い込まれることも考慮して全員魔法の袋を持ち、中に闇系の回路をつけた魔石を入れておけばいざというときでも時間を短縮して出られるのう」


 腕輪からの脱出は解決したが、本命の腕輪は誰一人触れない。二つ壊したが、石に埋もれて悪夢を見てそうなディランと増えた腕輪。一時的にディラン君に仲間になってもらって妖精を追い込むかと極々当たり前のように決まってしまった。

 ごめんよ、ディラン君。ひどい目に合わせている分、君が正教会のヒーローになる台本はメヌールに書いてもらうから。

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