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だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
吟遊詩人編
195/246

24日目 検討

 今のハイラルとダークエルフの対面は良くない。ついでに各関係者も大陸思想なのでパニックは確実だ。にっちもさっちもいかなくなったため、三人俯いての楽しくないキャンプファイヤーを囲んでいる。良い案なんて勿論でないがついに時間切れの合図が来た。レイからの念話である。


『帰ったらハイラル置いて帰ったって言うし何があったの? トラブル継続中?』


 かけ直した念話の向こうでいつもフラフラしたレイの声が急に年をとったように固く聞こえた。


『ええ、継続中です。できれば暫く合流はしない方が良いかと』


 話せないことが多すぎてはっきりしない言い方でハイラルを拒絶する。レイは今、軍人としてなのか父親としてなのかわからないが珍しく言葉を返してこない。


「レイナード魔導師か?」


 癖なのか特になにもしていない時に念話をすると視線を上げる癖があるので隣のメヌールが通話に気付いた。


「トラブルか?」


「今話していたハイラルの師匠で養父じゃ。治療後は彼の元にハイラルを置いているから引き取るか否かのまさにそのままの話だろう」


「何で少年を預かってるんだ?」


 私とレイが会話に詰まっている間、サンドラとメヌールは旅の原因について話をしはじめる。私もそっちの会話に混じりたい。


『暫くはそっちで預かってもらうのは無理なんだね』


 無言に耐えかねたのかレイから話のまとめをふってくれる。


『正直ハイラルを襲った司祭に素材売りをした犯人の人物像も犯行理由もわかってないですし』


 さっきとは違う言い訳が口から出てきた。そういえば妖精に悪質な因縁をつけられる理由がはっきりしない。浮かぶのはレジーナの隣にいた欠片だけだ。


『そうだね。まだ始まっていない領都で君たちから離れている今の方が安全だ。ハラーコ、確認だけどもさ、今すぐは無理でも争いが始まったらまた受け入れてくれるかい?』


 これは断りにくい。そして直ぐに解答しなければ返事として不十分だ。


『勿論です。解決するかそちらが危険になったらまた呼びます』


 安請け合いを思わずとばして自分で自分の首を絞める。大丈夫なのか? 先伸ばしにするだけで。


『わかった。ハイラルの件はまた頼むよ。明日の朝村の移転は僕も行くけどよろしくね』


 話は終わるが頭が痛くなってしまった。ハイラルをどうこうするのは先伸ばしにしたが考えなければならないし、いった手前あの妖精も解決しなければならない。もしくは解決を偽装。明日で村の引っ越しという一大課題が片付くのに仕事が減った気がしない。




 なんだかもう身内になりつつあるサンドラはメヌールとの話を終えてじっとこちらを見てまっていた。簡単に時間のばしをしたのと妖精捜索を話すと単純なりに答えが出たのか口を開く。


「あの性悪妖精が何者かっていうのは置いておいて捕縛すれば良いんじゃないかな。手口から君らを狙ってるのは確かだし、今は道を外れているが次の街道沿いの村に行けばいる気がする。教会の腕輪で捕縛できるんだろ?それを手に入れて取っ捕まえて吐かせたら解決だ」


 何者で何の目的かは考えるのは後回しに捕まえてしまう。実にシンプルだ。


「サンドラ、その妖精が単独犯じゃなければ余計ややこしくならぬか?追っ手が増えるぞ」


 私たちが知る妖精は既に分裂しているので、彼女が犯人で全員同じ意思であり七人くらいでやってこられたらもう悪夢だなとメヌールの意見に同意する。


「というか他に妖精知らないならそいつとしか思えないけどね。領都と次の村で両方取っ捕まえて吐かせよう。妖精捕縛ができるなんていい武器あるんだから。他に地道に探るほど相手の足取りなんてないんだから」


 他に道筋がないのは確かである。少し引きながらサンドラがたてる計画にのることにした。イケイケどんどんなのはダークエルフの性質らしい。翌朝からの反撃のために胃を痛めながら雑魚寝する。

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