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だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
吟遊詩人編
178/246

23日目 偽レイチェルをさがせ

『というわけでして』


『なるほど。そりゃ朝から出掛ける羽目になるのう』


 本日の私は早朝からアラリア国に来ている。吟遊詩人タイムで昼起き生活になったメヌールに念話を繋ぎ、昨日の領主館での話と不在の説明をしているわけだ。


『具体的に偽レイチェルの場所はわかったのかね?』


『残念ながら。ウルルナ村も孤児院も偽レイチェルに出す馬車は最短五日間隔で、最近は十日程空いたりと場所を知る人は居ませんでした』


 朝から頑張ったがわかったのはこれだけである。奴隷商人なり運送なりは偽レイチェルから人員が出ていて、反政府軍はそれらに利用のみで運営や渡航はない。ラッド達のように現場の軍もレイチェル国に行くと疑い無く思っており、偽レイチェルの位置はわからなかった。


 苦労してわかったのは偽レイチェルサイドは商売はしているが、反政府軍などのアラリア人を人として運搬していない。商品は物として運ぶが怪我人や配置換えには関わらず、偽レイチェルの場所を隠しているとしか思えないこと。発想としてレイチェル国が偽レイチェルだと思っていないので気付きようがないと言えばないけれども。


 そんなわけで偽レイチェルがやってくる馬車の間隔や特徴、次回予定くらいしか見えていない。


『急ぎというわけでもないんじゃろう? 五日かそこいら待てば良いのでは?』


『ラッド一家を抱えて五日。レジーナ関連で立て込むだろう五日。どう考えても嫌ですね。きっとまた問題山積みになりますよ』


 レジーナを引き出されると困るらしくメヌールから返事は暫くなかった。少し間を置いて再開する。


『ところで、さっき頼まれていた魔道具じゃが構想はできた。とりあえず聞いて、それに合わせた材料を置いていってくれ』


 仕事が早いメヌールはザカリアスの依頼品を突貫工事で引き受けてくれていた。魔道具自体が魅了を防ぐのではなく、正しくは私が何らかの魔法を開発してそれをインスタント食品の様に一定期間保存する魔道具計画。そんなプランを大雑把にしてくれる。


 私が作る魔法はべらぼうに魔力を食うと予想して魔石の圧縮と結合をガンガン進める道具を作り、既存のインスタント魔道具の電圧ならぬ魔圧をパワーアップをさせた物を作り、そこに私が魔法入れて、最後にコピーで増やして渡す。高価な使い捨て装置で私の能力頼みになるが一日で無理矢理何とかできる最大限のプランである。

 とりあえず私の今の最大コストの魔法に合わせて作りたいらしく、推定分の魔石とミスリルを用意すればよいようだ。


『夕方まで捜索したいので材料だけ送ります。メヌールじいさんのベットの上は空けといて下さい』


 正しくは宿屋に帰りたくない。アイテムボックス内で増やしたり選別をしてメヌールの寝台に座標を合わせて転移させる。


『おい、急に全てを送るな! 人が来たらどうするんじゃ! 私の袋は寝台の上程度の容量だといったじゃろうが!』


 物資の隠し場所は考えてなかったや。普段二人してぽんぽん何でも突っ込んでいたので頭になかった。


『領主館か森の奥地に小屋でも置いて作業しますか?』


『ハイラル一人に訪問者対応をさせる気か。昨日の今日で他の吟遊詩人はくるわ、職安から旅券確認にくるわで留守にはできんのじゃぞ?』


 なんだそれはと確認すればリサ達歌い手集団に嫌味を言われたり、他所の吟遊詩人が売り込みにきたり、軍人がいるなら放置したらヤバいと職安の方からチェッカーを持ち込まれたり幾つか騒動が起きている。無難に応対しているらしいがメヌール的にはさっさと移動したいらしい。


『全て君の影響じゃがな!』


 気にしたら負けだと思う。


『とりあえず数日いると想定して寝台下に押し込んどいて下さい。偽レイチェル探し続行しますんで』


 雑事は忘れて本題に戻ろう。

 偽レイチェルについて知る人がいないことはわかったが、進路はわかっているし、休まず移動は有り得ない。すごくアナログな探偵のように痕跡を辿ることは不可能ではなかった。簡単にいうと馬車の轍やキャンプ跡、その辺をチェックしつつ近付いていく。今まで他人の脳ミソを見ていたりなのでこんな地道な作業は珍しかった。時速百キロ程度で上空から確認するのが地道かは人に寄ると思うけれども。

 兎も角そんな地味プレイでとうとうアラリアが国として自治していた最東端には何とか辿り着けたのだ。ここから本格的な捜査になる。


 アラリア最東端はルンダという村だ。本来アラリア政府が持つ検問所を逆側から利用して偽レイチェル国の検問所がメインの村になっている。アラリア人は国境を超えられず、難民キャンプの代わりに奴隷商に身売りして検問所を通過するという異様な村だ。これは偽レイチェルの国土その一と数えて良さそう。

アラリア側に商人は多数いるが検問所を越えられる者は少ない。逆に偽レイチェル側は人を選別している施設がわんさかあるがあまり出入りしていない。内情を調べると数日毎に検問所付近の奴隷商人から買い足している。

 ここでラッドの家族を探すのが良いのか、はたまた中央への案内人を見つけるのが良いのか。

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