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だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
吟遊詩人編
175/246

22日目 雑事えとせとら

 ラッドには暫くこの領都東村に滞在して長期戦で探すことを報告して宿屋にとんぼ返りをした。申し訳ないことだが、ラッド以外は不法入国者。長期滞在中にチェッカーの列が短くなっても手続きしないのは不審すぎるし野営生活で我慢してもらうしかなかったのだ。国境から離れすぎたこの土地で流民登録をするには領主のコネを使うしかない。それにはアラリアとレイチェル情報を取引材料として用意しなければこちらも厳しいから。




 宿屋に帰ると香盤決めの顔合わせには間に合った。ハイラルは寝かせたままメヌールと二人だけで参加する。本日参加の吟遊詩人は六つと多く、全チーム一致で短い曲を二曲ずつ回すと曲を含めてさらりと決まった。前回のように揉めることもそんなになく、ついでとばかりに情報の売買が始まる。少しびっくりしていると一番年期が入ってそうなリサに声をかけられた。


「ヴァイオレットちゃんとこは皆始めたばかりなんだって? この様子だと前の村で嫌がらせでも受けてるでしょ。可愛いものね、あなた」


 ゴージャス系美女リサは幻影アデン人顔をまっすぐ見て、少しおばさんの入った絡み方をする。


「あー、まぁ。うちのレイナードを宿の裏に呼び出してリンチしようとしたり、夜中に衣装に悪戯に来たりしたのはいましたね」


「怖いわねぇ。それって盗賊なんじゃないかしら? 皆もそこまで酷いの実際には滅多に見ないでしょう?」


 どうにもリサを中心として数日滞在している歌い手は女子グループになっているようで口々に吟遊詩人事情を聞かせてくれる。新人教育かいじめかわかりづらい謎の囲みである。ある程度一般的な自衛策を聞かせてもらうと思い出したようにまたリサに話をふられた。


「そうそう、この村は人が多いけれども、宣伝は男性に任せて自分で会話はしちゃダメよ。小さい村と違って都会人のルールがどこでも通用すると思って、花売りとそれ以外の区別がつかないの。困るでしょう? そんな目で見られるなんて」


 うわぁ、湾曲表現での注意だわ、これ。物凄く怖いので気を付けますと言ってメヌールの横に退避する。長期滞在して女グループに関わるのはマイナスからのスタートなのできつい。


「出番まで出かけて来ます」


 こっそり了承を貰い部屋からアラリアに飛ぶことにした。

 ガルド領より若干陽が翳るのが早いアラリアは夕飯時。資料を盗み出すには最適な時間です。ただし、文字を読めれば。

 毎回文字で躓いている気がしてならない。移動しながら勉強するのも吝かではないのだけれども、潜入だとか工作だとかで必要なだけなのでモチベーションが下がる。読める人に読んでもらえばなんとかなるのも原因かもしれない。

 だからまぁ、今回も資料を管理している人に暗示をかけて読んでもらっていた。それで思い付いた。


 一人で探すより暗示を鼠算的に増やせば時間短縮して人探しができる。

 早速アイテムボックスの魔石を使ってラッドの家族を見付け次第連絡する暗示と位置情報を私に飛ばしてくれるように魔法をこめてコピーした。ざっくり袋に入れて上位者に戦利品として回すようにと渡す。捕まえたヒューマンを送るリストででかい施設を中心に同じものも配布した。これで私が動けなくとも反政府軍でじわじわ探索がすすむはず。

 あまり時間がなかったので今日の活動は打ち切っておくことにした。

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