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だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
吟遊詩人編
172/246

22日目 タイムアタック部門終わり

 ラッドの奥さん達は彼の予想通り東の作業所にいるだろう。しかしながら幾ら小国の内戦といっても武力闘争だ。そんな作業所どれだけあるんだという話。

 ラッドの記憶から屋号は無くともクラリッサとラビアンという名前を引っ張ってきた。作業所リストを頂戴して、一件一件クラリッサとラビアンが居ないか見て回る。戦場ならまだしも建物で作業をしている人間をこっちこいで呼ぶと、壁に激突して死んでしまうかもしれない。よってしらみ潰しになる。

 作業員の名簿を作業所ごとに漁るが、クラリッサもラビアンも珍しい名前ではないようで被る人がいた。皆同じような境遇なのに、ラッドの家族でないと見捨てるのは酷い行いかもしれない。何人ものクラリッサとラビアンに会うと気分が段々冷えてきた。漸くラビアンを見つけた所で、何も言わずに透明人間のまま彼女の腕を掴んで転移する。


「えっあっ」


「ラビアン!」


「ラビアンさん!」


 義父さんがラビアンを抱き締めた。嬉しそうだが寂しそうな目でラッドはそれを見つめている。


「ラッド」


 姿を現すとラビアンが悲鳴をあげた。ラッドと義父は慣れたらしい。


「ヴァイオレット様、ありがとうございます」


「まだ皆が見つかっていないからいらないよ。ラビアンさん、クラリッサさんの所在知ってる?」


 急に振られたラビアンもこの家族皆がとるリアクションを顔でしている。


「クラリッサは作業所にはいないと思います……。魔法の才能があるらしくてウルルナで別れました」


 ここで魔法か。焼き付けをして使えればそれで固定砲台にはなる。普通の人より戦争の道具として使えるし、操作用により強い魔法使いが監視についているかもしれない。規模もわからないのでさらっと連れてくるには難易度が高い。


「それは時間がかかりそうですね。先に子どもを調べてきますか。

 ラッドさん、さっきは村で目立ったので今日は野営がいいと思います。テントは貸しますから泊まる準備を」


 テントを貸して再びウルルナにとぶ。ここから旧孤児院がある本村を特定してまた転移。子どもを売買するための施設と聞いていたが、そこはどう見ても大教会。白の建物が建っていた。

 まぁ、いいか。何の建物でも今どうしているかだし。タイムアタック状態でさくさく進んでいたがここからは時間がかかる気配がぷんぷんする。一番時間がかかりそうな理由は子どもの名簿がないことだ。何歳くらい何人なんていう帳簿のみで取引されている。


 子どもとクラリッサ、どちらも夕方までに見つかるとは思えない。一度、メヌールの頭を借りよう。宿屋の部屋に直接飛んだ。


「ただいまー」


「どこまで片付いた? また何日も抱える案件じゃなかろうな?」


「経緯と状態はこれ参照で。お知恵拝借お願いしまっす」


 前回レジーナの記憶を共有したようにメヌールの額に手を伸ばして直接読んでもらう。説明するより時間もかからずお便利すぎる。記憶の閲覧は私の記憶を自らの走馬灯体験のようにはや回しで送られているはずだ。メヌールは記憶を共有したようで眉間にシワを寄せた。


「寝落ちしたハイラルの記憶も読んでおけ。一応上手く伝わったと思うが本人の心情まではわかりづらい。意外と知恵も回る曲者じゃ」


 言われて思い出した。寝台には涙のあとが残るハイラルがいる。


「なんか急に色々回り始めましたね」


「君が手を出しすぎなんじゃ。ハイラルは共犯者足り得るか」


「それじゃあさらっと見てきます。捜索方法考えといて下さいよ」


 渋顔のメヌールから視線をそらしハイラルを見下ろす。じゃあ少し過去も含めてハイラル少年を見に行こう。

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