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だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
吟遊詩人編
161/246

21日目 次善作

 あの後、レジーナから私と揉めた記憶を抜いて監視を続けた。アデンの教会で過ごした所、日没に祈りの時間がくると思っていたのだが、レジーナはそれをしなかった。明けて日の出もなし。狂信者なのにおかしいなと思ったが、昨日メヌールとの会話は残っているのでタイマン接触を忘れていても警戒しているのかもしれない。

 そんなわけで私はこの身を商人と北上させつつ、南下するレジーナの見張りを継続させなければならなくなった。ついでに領主との密約に等しく、メヌールとハイラルには見つからないように。

 最初は念話用の魔力を繋いで盗聴しようかと思ったのだが、目が覚めたレジーナは大量の防御アクセサリーを身に付けて弾いてしまう。レジーナの仲間も然り。念話まで弾くガチガチ防御なのに一体どうやって天恵を得るのだろう?ない知恵を絞ったが見張って現場で掴むというアランの時と同じ方法しかなかった。

 問題は進行方向が逆ということだけになる。


「ヴァイオレット、そろそろ馬車を出すようじゃ。忘れ物がなければ乗せてもらうぞ」


「あー、ちょっと待って下さいね。トイレしてきます」


「……アデン人はそんなはしたないことは言わぬ。気をつけるのじゃ」


 メヌールのお小言を貰い、少し離れる。いよいよ時間が無くなってきた。

 一番の解決法は私が二人になることなのだけれども、どうやって二人になるんだという話。この世界の魔法は地球とさほど変わらない法則に魔力でごり押ししてねじ曲げるものだ。よって幾らチート魔力といえども私が二人になる理論が立たないのに実現のしようがない。なまじ地球世界の理論の応用で私を作り出せたとしても遺伝子や構造がにているクローンができるだけだ。記憶も植え付けれたとして、用が終われば消されたくないと敵対者ができあがりそう。詰んでしまう。

 どうしよう、これ。防御ガチガチ集団に付ける盗聴機もないしなぁ。目的が近い仲間の一人でもいればいいのに。


「ヴァイオレット! そろそろ時間じゃ!」


 メヌールが呼ぶ声がする。

 どうやって監視と旅を続けよう。追い詰められて脳ミソにアクセルがかかってきた。

 監視に必要なのは見つからないことと見えること。天恵が起きたらこの身で転移すれば済む。クローン程の能力がいるわけでもない。




 見つかるリスクを踏まえて監視カメラを遠距離から追従させることにした。今、馬車に揺られる私の脳内には空から見たレジーナ達が映っている。

 近場にいた鳥を洗脳してレジーナを監視、鳥の脳から念話の要領でその映像を送らせていた。欠点は夜は見えないことと鳥が死んだら代えがすぐ用意できないこと、そして見る以外のアクションができないこと。


「ヴァイオレット様、何かありました?」


「ん? 何も?」


「今日は口数が少ないですよ」


 ハイラルにまで気取られるが、気を抜けないのだ。平行思考をしてもいいが、それだとこちらでおちゃらけた私がすぐあちらに切り換えられない。

何故か祈りをしないレジーナが空をたまに見上げているから。転移の準備をしている私をメヌールとハイラルが心配そうに見つめている。

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