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だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
吟遊詩人編
157/246

レジーナ

 メヌールは歓喜した。それと同時に不安を感じている。養子に貰うレイナードの手続きが進んだ今、アランが何か手を出してくる前に彼を最北村まで安全に運ばなくてはならない。自分自身が迎えに行くにも僻地最北村。片道だけでかなりのロスだ。

 幸運なことにレイナードの養子を決めてから大教会にも領都周辺にも神官の伝というものがかなりの数強固になっている。彼らに保護や移動を頼むために魔信をするしかない。ただ、アランの耳にも入る可能性もある。断られたらそれでおしまい。早い内に協力者を確保しなければならない。せめて三人以内に色好い返事を貰わねばと神に祈った。




 魔信の返事は四つある。三人に協力を依頼したが田舎司祭の宿命か直ぐに動くことはできないと断られた。残る一つは依頼していないにも関わらず届いた協力するとの返事。敵か味方かわからない。動く者が出てしまった以上もうそれが善意のものであると願うしかなかった。匿名の形で領都から届いた魔信。既に協力者はレイナードと会っているはずだ。




 レイナードが最北村に到着した。安堵と不安がメヌールの胸を締め付ける。レイナードに兄の死について話すのは躊躇いがあるのだ。マキシムの死により実家関係の雑事と仕事を片付けるために走り回った。時間の経過と忙しさがもうマキシムについて語らなくても良いのではないかと誘惑する。

 そんな中でメヌールはまた魔信を受け取った。匿名。無事養子が辿り着いたようで何よりとの言葉と本家筋での不幸への追悼、そしてマキシムの死に関しての追加情報だった。

 一体誰なんだ? 何が目的なんだ?既に助けて貰っているのに謎の人物に頭を抱えるメヌールがいた。




 レイナードも成長期。メヌールの身長を超しそうになった頃、大教会から魔信が届く。曰く、隣国の大教会の司教を召還したので歓迎と迎えにやってくる神官をもてなすようにとのこと。隣国との境界線に近いアデン最北の教会。案内人と待ち合わせるにはここしかないのはよくわかる。ただ、案内人は恐らくガルドの者だ。アランの息がかかった者がくるかもしれない。メヌールは久し振りに不安を感じながらガルド大教会に人数や性別年齢など持て成しの参考に出してくれと返信した。




 案内人は拍子抜けなことにアランとは対立する男と数名がやってきた。会って直ぐに全員反アラン派なんだと紹介される。そしてこの案内人の中で礼を述べなければならない人物を紹介された。


 レジーナ。


 彼女は正しい教会を目指すメヌールと歳の近い女性であった。大教会時代は派閥も師匠も仕事も違い全く接点はなかったが、神に愛され魔力を持つ子に正しき道をとレイナードを保護し、ここまで送り届けてくれた派閥の長である。

 メヌールは最大限に敬意を示し感謝を表した。レジーナは苦笑いをした後、真剣な顔になりメヌールを立たせる。


「あの子の兄の続報を持ってきたよ。アランが関わっている。あなたの教会に案内してくれないかしら?」


 歓迎は報告会となった。メヌールはマキシムの死についてまた息子に話せぬ重荷を知る。




  レジーナから手紙が届いた。魔信ではないのでアランに漏れないだろうと直接的な言葉で綴られている。アランの息子と推定されたイアンが魔法使いの師匠とガルドを旅をしている情報だった。師匠はレジーナの知人筋の男で魔獣の研究の一貫でマフュブに行く予定があるという。最北村にとって最寄りの都会でマキシムが死んだ土地。アランの小飼を確認するために一騒ぎするので暫くの間、メヌールとレイナードはマフュブと疎遠でいた方が良いというのだ。親切なのか策略なのかはわからないが、イアンとレイナードを会わせないというのは同意できる。事が終わるまで動かないと決めた。




 レジーナの策略は失敗したらしい。完全にレジーナの派閥に入ったわけではないが、レイナードやマキシムの件で世話になったマフュブの神官が死んだことくらいならわかる。そしてレジーナが大教会から離れて領都近郊の村に引っ込むことも。

 レジーナ本人から手紙はこない。監視されているのかもしれない。同時にマキシムの事件の真相に繋がる糸は切れた。

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