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だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
吟遊詩人編
154/246

20日目 最近爺が桃姫化してきた

 待ち合わせ場所に着くと間もなくミッシェルの所が全員でやってきた。ミッシェルは昨日と違い普通の服で、竪琴と横笛の人は楽器と糸束ようなものも持ってきている。


「昨日は悪かったね」


「ミッシェルは口が悪いが心根は悪いやつじゃないんだ。素直にタバサん所に注意しろって言えなかっただけでな」


 チーム内で絶大なるツンデレキャラの地位を確立しているミッシェルは仲間のフォローに肘鉄を入れる。竪琴の人のフォローによれば歌い手に粘着する客をあしらっていたらこうなったらしい。ベテランになるときつい性格の歌い手が増えるという忠告もうけた。


 挨拶が終われば早速指導である。メヌールがいなくて横笛か歌は抜けるがフレーズを追わせる形で指導。笛を吹きながら踊ると笑われたがプロの奏者なだけはある。完成せずとも幾つかにわけたメロディを切れ切れにも理解してくれた。

 注目すべきは結縄だ。この大陸初の楽譜作成を見たのだが、縄に結び目をつけて作っていた。楽譜を知らないというと呆れと感心入り混じりで教えてくれる。手紙が一本の紐だったように、歌詞カードは一本だが、楽譜は楽器の音階に合わせて何本かの糸を網目に編んでいた。


「ヴァイオレット様、僕も楽譜なら持っていますよ」


 ほとんどの荷物は私たちの魔法の袋なので偽装だと思っていた鞄から大量の楽譜が出てくる。板に縦長の網が巻き付けられていて、伸ばすと彼らの楽譜と同じものになった。


「こりゃ知らないな。えらく雅なタイトルばかりだ」


「ああ、これは知ってるよ。讃美歌だ」


  讃美歌収集癖のある謎の新人になったハイラル。何で集めているかの質問にハイラルは笑顔で対応した。


「秘密です」


 新技術ハモりはハイラルの功績として讃美歌の勉強をすると竪琴の人が燃える。

 そんな話を挟みながら大体形になった所で全員で合わせることになった。竪琴二人に歌い手二人、笛は一人だが声が四人でなかなか分厚くなる。あとは反復練習だなとなり、これにて終了。一緒に宿屋に帰りメヌールを回収に行く。


「レイナード、終わったよ! 出発しますよ!」


 声を出しながら店内に入ると待機中のメヌールがいない。


「おかしいですね、部屋も引き上げたのに」


「じいさん一人にしたのは不味かったかもしれん。マスター、ヴァイオレットの所のじいさんは?」


「タバサん所が曲買うっていって出てったよ。しつこかったしな」


 メヌールよ、また拉致か。一人にしたせいで血塗れになったメヌールを思い出す。村社会の陰気な空気ほど重くはなかったので気を抜いていた。念話を繋ぎ呼び掛けてみる。


『メヌールじいさん、タバサん所にやられてない?』


『流石に今回は大丈夫じゃよ。なまっちょろいお子様が二人じゃしな。宿屋の裏じゃ。証拠隠滅にきておくれ』


 余裕過ぎるようだ。ミッシェルの所とハイラルが緊張状態なので声をかけてから向かうことにする。


「あれでもレイナードは超強いんで大丈夫です。見つけたらそのまま旅立ちますね」


「いや、二人がかりだぞ? あいつら最初から感じ悪かったし初犯じゃない。一緒に探そう」


 ミッシェルの所の三人はメヌールの心配をしてくれる。いい人なんだが時間が惜しい。鈍感ちゃんをかけて大丈夫大丈夫とハイラルを連れてさよならした。ハイラルもある程度私の魔法を理解しているので安心したようについてきてくれる。

 結局、宿屋の裏では伸びた二人と震えるタバサにメヌールがいた。折角なので魔法使いの記憶を封じて傷をなおす。高飛びする理由がなくなったので真っ直ぐ北に進むことになった。




 余談であるが、タバサの所を抑えて安心したまま次に領都に買い出しに行くとき、変な流行歌を聴くことになる。流行歌は『神罰の炎』『ヴァイオレット一行の世直し旅』『教会育ちの吟遊詩人』。ミッシェルの所がやらかしていた。

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