2日目 接近
あの後ちゃんと旧道を見つけ二人と一匹で歩いていた。なんとなくしんみりとした空気が漂い、あまり積極的ではない会話をしては途切れて、お互いに中途半端に気をつかいあっている。
多分、空気を良くしようとは思っていない。この流れには納得しているので惰性での言動である。怪我をしている人を見れば何ができるでもないのに「大丈夫ですか?」と声をかける様に、傷ついている人がいるから声をかける私と、ゲストを放置してはいけないなと声をかけるカイトが同じことを繰り返しているだけなのだ。
私たちは人見知りのような会話のままかなり村の近くまで過ごしている。
私のレーダーマップで村を1キロ圏内に捉えた頃、村から六人の男性が近づいてきた。帰りの遅いカイトを迎えに来たのだろうか。真っ直ぐ来ている彼らに疑問を感じながらも、普通の人にはまだ感知できないであろう距離なので、カイトが反応するまで黙っていることにした。
「ハラーコ、明かりが見える」
カイトが彼らを見つけたのは、その手に持つ松明を目視できる距離になった時だった。
「村が近いのでしょう? カイトさんのお迎えじゃないの?」
私は彼らが村を出るところからレーダーマップで見ているので推定村人だと知れたが、目視で人物を判別するにはまだ遠い。
「いや、今までそんなことされたことはなかったぞ? とりあえず向こうも俺たちを捕捉してるし接触してみる。防御魔法はまだ有効かな?」
カイトは一度馬車を止めて例のスコップを用意しはじめる。
「大丈夫だよ、まだ光っているもの」
答えながら気付いてしまった。まだ光っているのが原因だ。村に近づく発光体。不審に思い隊列を組んで確認に来たと推測される。昨日と同じ流れではないか。カイトも思い至ったようで変な顔をしている。
「原因はコレか」
「すっかり馴れちゃってモフ馬でさえ気付いていなかったよ」
最初は光珠ですら怖がっていたモフ馬も、今は自らが光っているというのに全く気にしていない。少し小首を傾げながら呑気な様子である。
「うん、このまま馬車ごと接触しよう」
カイトは出しかけたスコップを戻してモフ馬を歩かせた。
お互いが目標なので距離はぐいぐい近くなり、声をかけるまでもなく知り合いであると視認できた様子。
「カイトか?」
「おう、今帰ったよ」
「なんでお前ら光ってんの?」
何から話すべきかわからずに両者共に停止した。