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だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
吟遊詩人編
146/246

18日目 行き先確認

 前に部隊長に地図を見せて貰った時からわかっていた。この大陸の地図はいい加減だって。引っ越しもするので大体の位置と施設の連携を見るだけでいいので路線図のように正しい距離など気にしないのだ。

 ハイラルとメヌールは二人で地図を見ながら話しているが私にはついていけない。この地図で決められる君らが凄いよ。


「内戦中とは言え一番近い外国はアラリアじゃ。このまま北上して山越えを狙うか、ツガル港まで北東に進み船で迂回するか。何れにせよ、冬越しについて考えなければならんのう。国境は春までお預けじゃ」


「今は流民対策でホラ村のように山脈沿いに家や食料が例年より置いてありますよ。流民で溢れていたら嫌がられますが、向こうから人が来にくいルートにある村を優先した方が良いかと」


「ホラ村より山越えが辛いルートはないのう。昼の吟遊詩人はこう辿って歓迎されなかったと言っていたな。比較すると余裕がありそうな村はあまりないぞ」


「転移で補給の心配がないので大きな村だけジグザグ行くのはどうですか? 最短ではありませんが冬越しできる場所以外は避けても良いかと思います」


 私にはわからないが職安の地図は食料備蓄がある程度見えるらしい。日々の生活も大事だけれども、できれば第一ゴールである冬越しは安全なところがいいなぁ。ホラ村みたいな小さな村でも騒動を起こしているので規模は関係なく揉め事が起きる気もするけれども。一ヶ月もこもるので摩擦が少ない案が欲しいところ。


「ハイラルがいうように結構無理のあるルートでもいいと思います。一番は長期滞在になる冬越し場所。冬まで何があるかわかりませんが今一番の面倒な相手であるガルド教会の影響が少ない場所がいいです」


「教会ですか? ガルドで教会のない場所はほぼないかと」


「本村から離れた衛生村などか? 娯楽としては歓迎されるが、流民の量次第で食えんくなると嫌がられるぞ」


 何だかどこにいってもあかん気がしてきた。旅の目的、周りに宝玉負のパワーを与えず、ハイラルを守るは人に会うほど危ぶまれる。人に会わずに冬を越せないだろうか。


「食料問題は何とでもするので人と会わずに三人だけで冬を乗り切りたいです。移動できなくなるなら心配事がないに限ります」


 もう世俗とおさらばしたいと旅の初日に弱音を吐く。意外なことにメヌールが食いついてきた。


「それは名案じゃの。当然のように人里におることを考えておった。ハラーコの魔法でコピーがあったのう? ひたすら適当に北上して、雪が降り始めたら誰も来ない場に小屋を置けば良いのではないか?」


「いいんですか? 人並みの生活力を身に付けさせるとか言っていたのにおこもりで」


「ハイラルもおるんじゃ。今年は安全の優先度が高い」


「すみません。僕が未熟なばっかりに」


「ハイラル、冬の間二人にはみっちり魔法を叩き込む。集中的にするだけじゃよ。君の師匠との契約内じゃ」


 メヌールがハイラルの頭を撫でる。

 旅程は道沿いに適当に北に進むことになった。目的地も不明瞭だが雪が降るのがタイムリミット。ふわふわした計画だが、教会が動いてから考えればいい。慌てて始めた旅だが意外にもほのぼのゆったりしている。


 地図を戻してテントに帰ると人避けの石柱がごろんとしていた。ほのぼのムードは消えてしまい、無言で就寝する。ちょっとこれは考えないとな。

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