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だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
吟遊詩人編
145/246

18日目 本物を学ぶ

 伴奏は竪琴、横笛に手で叩く太鼓とギターのような楽器の四種。スローではあるが高音低音差が激しい曲だ。アリシアは立ち上がると腰を振ってリズムをとり、歌い出しに合わせてステップを踏み始める。

 あ、これ今朝と全然違うわ。

 手の動きはバレエのようで、下半身はベリーダンスに近い。隣の男が出す鈴の音に合わせてゆっくりと振る腰が段々と速くなる。声は確実にいい。ただ見た目とダンスがクール系なのに、歌は高音域の少女のようだ。これがいいのか? ギャップはないのか? 少し腹に力を入れてオペラ風にした方が合うと思う。逆に声に合わせるならもう少し品が欲しい。評判の良さでだいぶ期待していたが私の感想はいまいちだ。

 時折ダンスのせいか声がか細くなるのでさとりんして歌詞とおたまじゃくしを拾う。二曲続けられた後、彼女は引っ込み、周りは感想を話ながら乾杯をあげた。


「ヴァイオレット、どうじゃった?」


「コピーもアレンジも可能ですが、正直期待はずれです。アデン人的センスでこれが良いのか、改良の余地があるのかで変わりますね。まぁ、手形を出す毎に数回講演するのには問題ないでしょう。クオリティは二人に合わせます」


「ふむ。本職ではないしできないわけではないのなら問題はない。竪琴の音も暗記できておるか?」


「バッチリですよ。見本に弾くことも可能です」


 歌やダンス、竪琴で食べていた記憶を引っ張り出すと超難易度でもなさそう。楽器の形が似ていると音階も弾き方も近くなるので少しいじればできるはずだ。軽くメヌールと話しているとハイラルが帰ってくる。顔が真っ赤で酔っているようだ。


「この後、休憩明けは『夜の帳に』と『男と娼婦』をするそうです。あの、ハ、ヴァイオレット様は見ない方が良いかと存じます!」


 そのタイトルは大人向け演目ということだろうか? さっきの鈴男もいないのでメヌールに聞いてみる。


「大人向けですか?」


「恐らくな。大体二曲から三曲で休憩を入れて一晩歌う。昼間の通りは今みたいなもののみ。夜の演目は半分以上大人向けになるので次から大人向けなら体力はあまりないのじゃろう。収穫は少なかったが練習を考えれば二曲でも良いか。店を出よう」


 吟遊詩人、歌い手と聞いたが何だかストリップに近い気がしてきた。メヌールは紳士なので大人演目は見学も実地もさせないつもりのようである。ハイラル君は思春期だからか残念そうだ。多分見てたらせっかくの暗譜がぶっ飛ぶので可哀想だが撤収する。


「次は地図か。ヴァイオレット、頼む」


 酒場の喧騒を背にしながら、三人の姿は魔法で静かに消えていく。

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