表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
ガルド領・教会編
13/246

2日目 テンプレイベント

残酷描写警告

 モフ馬の馬車は酷い造りだと思い込んでいたが大自然相手にはかなり優秀だ。

 道ではない場所の移動は疲れやすいから、とカイトは私をモフ馬が均した轍を歩くようにと指示をだして先行してくれている。太くて重い丸太車輪の跡は草花が潰され、石などの見えない障害物を埋め込み、簡易的なロードローラーのように私の行く道を整備してくれたのだ。おかげさまで身体強化の魔法をかけているとはいえ、大幅にペースを落とさず歩いていける。


「明るければそろそろ墓地が見えてくると思うよ。日が落ちちゃったからわかりにくいかと思うけど」


 カイトが言うように完全に夜がきてしまい、現在彼と私の手には魔法で出した光珠がある。

 最初カイトは松明を焚こうとしたが重いしたいして明るくない。魔法でもっと明るくできるよと追尾型の光珠をだしてみた。追尾型の光珠は墓地に向かうシチュエーションが火の玉に見せるのと、モフ馬が怖がってしまうので、結局ボールを持って歩くような形になってしまう。

 なんだかしまらないな。


「ハラーコ、止まって」


 急に馬車を止めたカイトは私にも制止をかける。


「やだなぁ、墓場近辺で脅かさないでよ」


 少し強がってみたけれども、実のところ墓場に近付はけば近づくほど緊張していた。魔法が使えるファンタジー世界で墓場といえばド定番のゾンビイベントじゃないですか、ヤダー。そして存在をすっかり忘れていたレーダーマップを開く。ゾンビイベント既に始まってるじゃないですかー。


「左奥へ木を二本目、その辺りの繁みが不自然に揺れたんだ。

 ハラーコ、防御系の魔法をかけれるかい?」


「できるよ、物理・魔法兼用かな」


「俺たちにかけて余裕があればモフ馬にもかけてくれ」


「了解」


 魔法を使うにはそれっぽいポーズも必要そうなので翻訳魔法を切って外国魔法ぽい呪文を唱えることにする。余裕があるのはポーズの前にさらっと防御魔法の処置は終わっているためだ。


『じゅげむじゅげむ~ごこうのすりきれ~』


 二人と一匹を淡い光が包みこむ。そのまま光が馴染んだように消そうかと思ったが、視界確保に役立ちそうなので継続して輝いて貰うことにした。


「すごいな、なんか光ってるし強そうだ」


 別に発光体は強くない。しかしカイトは勇気がわきだしたと言う表情で馬車からスコップを引き出し正眼に構えた。何でスコップなのですか。


「ハラーコ、何が出るかわからないけれど馬車の横で援護を頼む」


 出るのはゾンビですよと言いたいが不自然なので黙ってモフ馬に並ぶ。モフ馬は自分や隣の私が光っていることよりゾンビが気になるらしく繁みを見つめて歯をガチガチならしていた。

 私がモフ馬に並んだ気配を読んだのか、カイトは繁みに近づく。


「ドスッ」


 鈍い音がした。その後もきっとスコップでゾンビを殴っている音がしてからカイトが戻ってきた。援護って何したら良かったのだろう。


「マリーとこのじいさんだった」


「え?」


 ゾンビと戦ったであろうカイトには特に怪我も見られず、スコップが少し臭くて汚い。そして謎の発言である。


「あー、ゾンビが出たんだ」


「うん」


 知っている。


「村の墓地から来たらしくて生前御世話になった人だった」


 なるほど知人のゾンビを倒して来たので罪悪感とかでごちゃごちゃなのか。


「んーと、おじいさんまた埋めに行く?」


「いや、一度ゾンビ化した遺体は焼かなきゃならないんだ。悪いけど火の魔法使えたよな? このままマリーに渡すのも忍びないし頼めないかな」


 他にレーダーにかかる外敵もいないし、カイトは落ち込んでいるので火葬を手伝うことにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ