表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
ガルド領・教会編
126/246

16日目 やるなら派手に

 片っ端から脳内スキャン。自重を止めたついでに今までお便利にしか使っていなかった魔法の限界に挑戦してみることにした。何をするかというと出力をガンガン上げて同時に行使する。もっと詳しくいうとMP効率の悪い範囲魔法をできる限り広域化した。これが攻撃性の魔法ならMMOのレイドボスが大振りなモーションの後に発する全体攻撃になっただろう。使っているのは睡眠と脳内スキャンなのでノーモーション、ノーエフェクトだけれども。下手に厨二病を刺激する動きをすると今晩布団の中で反省会が待っているのでそこだけは遠慮した。

 不思議なことに何段階範囲を広げても魔力切れには至らない。放置していた自分のスペックが魔力極大ではなく無限の可能性が浮上する。

 ここまでチートさんが活躍してくれるのであればと脳内処理のスペックも上げてみた。何故かというと広域化のせいで同時に多人数の頭の中身が入ってくるから。微妙な人格まで破壊されたら面倒だという理由で表計算ソフトやフォルダを作成して人間パソコン状態で分類わけをしていく。




 気がつけばアデン大教会は完全な眠れる城と化している。寝ている神官があちこちに転がる教会は神聖ではなくホラーな空間だ。できたことも凄いが脳内パソコンさんから重要度の高い物順にマークをつけてリスト化する。

 一つ、アデン大教会上層部はアラン含めてガルド大教会内に魔獣の宝玉に魅いられた大罪人がいる可能性で監視レベルを上げようとしている。

 一つ、アベルはアデン大教会の密偵もしていたが別の紐もついている。

 一つ、アベルからアラン不在は漏れていないが火災等の私の発言の裏付けはとれている。しかし私の存在が不明確。

 纏めてみると簡単だった。ガルドに監視を送る予定ではあるがあくまで予定。出兵予定も皆無。ガルドへの横槍は私とアベルの存在をアデン大教会人員の記憶から抜き取れば何のソースもないのである。テンションのままにしているので後から追加で何か処理するかもしれないが、今の所それだけで王都のお仕事は終了だ。


 最初からこうしていれば早かったのにと皆さんの頭からまた広域魔法で抜き出す。最初というのは王都だけでなくホラ村の話だ。人から記憶を抜きながら旅をすれば何のしがらみもないのである。ああ、テンション下がってきた。記憶を頂戴した私はやる気をかき集めて宿舎の生活臭や記録も消失させておかしな領主の元に転移した。




 私は領主館の上空で腕を組んで唸っていた。ここにきて少し迷いが出たのである。

 鑑定して治したとして、戻った領主はきっとガルド大教会から魔法技術を奪うだろう。魔法技術の拡散は大いに結構だが、魔獣の宝玉が行方不明の今、転換期としてうまくいくかは疑問。逆に治さないで見棄てると豊かなガルドは荒れるかもしれないが魔獣の宝玉を追いかける機関は存続できる。今のガルド大教会は大混乱中なのでそちらに何かしなければかなわないが、孤立無援で一領地が頑張るより大陸中の教会と横繋がりで捜索できるのならメリットは高い。観光客な私が考えるにはちょっと壮大すぎる。時代の転換期のようだ。


「まぁ、治すにしても放置にしても原因くらいは調べておくか」


 魔法の広域化に目覚めた私はそのまま動かず領主を遠視、透視、鑑定、ログ閲覧をしてみる。


 状態異常、混乱。

 テオドール・ロックウェル・シュトゥットガルドはラルフ・グリードに呪いを受けています。


 また呪いだ。そして新人物。もう名前を覚える気にすらならないぞ。

領主の脳内からラルフをスキャン。ヒットしたのは会議にも出席していた側近の男。屋敷内から該当しそうな背丈の生物を探索。流れ作業的に発見したラルフの脳内チェック。

 ふむふむ、従姉妹がガルドの神官で領主を裏切って時間を稼いでいる間に還俗させてどこかに嫁がせると。実に下らない小さな工作のつもりのようだ。

さて、この呪いとラルフ、終わらすべきか終わらさずにいるべきか。何が皆のためになるのか私にはさっぱりわからない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ