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だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
ガルド領・教会編
124/246

15日目 急展開の始まり

 コンスタンティンから引き出された情報。他の通信魔法所持者は五名だ。彼らは火事の前からガルド教会におらず、三名はメヌールのように地方司祭をしている。手元に二名置き、常に一人は教会に残して情報収集に放っていたようだ。先日の魔法使い狩りも合わせると残りあと一名いる。意外なことにその一名はルマンドにいる司祭だった。


「またここに来ることになるとはのう」


 前回ルマンドに来た際、メヌールを師匠のようにして出入りした。通信要員の司祭を探すためには見習い扱いだった私一人では都合が悪く、メヌールがついてきている。


「教会悪事の資金源ですから不思議でもないですよ。子爵令嬢の暗殺依頼とか無駄に密な付き合いはこれが原因でしょうね」


 ルマンドは別領地であり別教区。そんなところの悪事に関わり抑え込んでいたのがコンスタンティンというわけだ。


「しかしガルドにも通信要員がいたじゃろう? こちらの様子が筒抜けでは?」


 メヌールが危惧するように通信要員がお互いの懐にいれば送受信可能である。けれどもコンスタンティンは通信要員の存在を隠していた。態々書き文字を残させてそれを手綱に脅迫していたらしい。


「ルマンドの司教たちにはばれていませんよ。裏切らないようにの監視に使っていたようです。ガルドから何を送られてもルマンドのためではなく切り捨てて逃げるように指示されていました」


 結局のところコンスタンティンはルマンド教会を信じていなかったのだ。ガルドからの指示通り調査と報告をするだけで、ルマンドに何かあればガルド介入の証拠を隠滅して尻尾ぎりできるようにおいているだけ。自分の手駒同士では組ませず全て一人司令で暗躍するという、手が混んでいるのか小物心理なのかとにかく掴まれにくいようにしていた。


「撤退逃走に力を注ぐのはわからんでもないが、所持者の少ない魔法使いを勿体無いのう。果たして司令塔が消えた神官は何をやっているのやら」


 戦術的に通信魔法ができる人間が隠されているのは当たり前らしい。命を狙われやすいらしく目立たず隠れて。なかなかの宝の持ち腐れだ。


「とりあえずやることはアベル司祭の確保です。コンスタンティンに召喚状を書かせてきたのでこれで入ってください」


「うむ」


 深夜だが険しい顔を作ったメヌールと召喚状をもつ私はあわてるルマンド教会の中にぐいぐい入ったのだった。


 ルマンド教会のマルコム司教は前回植え付けた記憶によりかなり慌てて出てくる。御自慢の神官服の下は寝間着の上から着たようではち切れんばかり。冷や汗をかいたのか頻りに髪を撫で付けていた。


「本日は何の」


「召喚状です。アベル司祭をここに」


 まるでアベル司祭が容疑者であるように板を突き付け早く連れてこいとメヌールは視線で脅す。更に慌てたマルコムは跪く。


「大変申し訳ないのですが、アベルは失踪中でして」


 メヌールの眉間に皺が寄る。マルコムにさとりんをかけるが嘘は言っていない。メヌールに通信を繋いで報告した。


『本当に失踪していますね。一昨日アラン名義の資料を消してから雲隠れしたようですよ』


『ルマンドでも捜索中か。ガルドから撤退命令が出ているのか?』


「五日以内に探しだし首をガルド大教会に提出するように。罪状と命令書は後から届ける」


 とりあえずの言い訳をしてガルド領主館に帰ることにした。多分ルマンドの魔法の質では捕まらないので強めの発言である。数日後に繋がる魔信で領主サイドがうまいことしてくれるだろうという投げっぱなしだ。


「既に逃げていたのでガルド側の通信要員から帰還命令を出しますか」


「アベルがガルド所属と真に思っていればな」


 残りの通信魔法使いは所在がはっきりしていたので魔法を焼き切って牢の中。ルマンドにいたアベルは帰還命令を受けても何の返事もしてこないまま朝がくる。メヌールの懸念通り、アベルはガルドに帰る気がなさそうだ。

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