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だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
ガルド領・教会編
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15日目 先に進む前に

 精神も魔力も足らない子に焼き付けをするわけにも行かず自らの体力と精神力を削ることでこなしたが、きっと解決するまで毎日続く。暇が無くなってしまった私の活動時間は夜の定期連絡タイムのみ。メヌール、レイ、領主を繋いでぐったりしながら様子を聞いた。


『ダークエルフ討伐でお祭り騒ぎだのう』


 なんというか、私の手が離れた所で計画はうまく回っているらしい。ガルド教会がもう一騒ぎ巻き込まれた辺りで移転は確定。お客さん待ちの状態なのだとか。


『ただ、あれだね。ガルド教会から偵察者がくる気がしないんだけども』


 レイが感じている様に皆が皆、ガルド教会の動きがわからなくなってしまっている。魔信ネットワークから切り離され、魔獣の宝玉もなく、大司教は行方不明で後継者争い真っ只中。火事の後始末もなく、治療院再開についても公表無しのまま。近隣住民もやきもきしていて白の建物を見ながら噂話に花を咲かせているそうだ。


『これはあれですか。お客さんがホラ村に来るように工作してこいって流れですかね?』


 念話のせいか本日お疲れモードが伝わり別に今どうこうじゃないよと止められる。やけっぱちで仕事をするとろくなことをしないと思われているような。


『客と言えば魔法使い狩りはどうなってます?』


『魔法を焼き切られた神官に価値はないとか。今はひたすら食事を拒んでおるな』


 一般人に全方位喧嘩を売っているらしい。教会は魔法使い集団なので武器を奪った途端に根なし草。強いんだか弱いんだかよくわからない結束力だ。


『はぁ、まぁいいっちゃ良いのですが。死なれる前に念話人員の炙り出しはしておきたいですね』


『それは勿論。王都に救助依頼でも出されたら終わりだからな』


 一方通行送信オンリーの念話は領主的にかなり危険度が高い。数日後からガルド教会のふりをする予定なのでそれまでに摘んでおきたい要素ナンバーワンだろう。


『そのことなんですけど』


 レイが念話使いについて案というか簡単な方法を述べた。すっかり忘れてしまっていたアラン大司教を起こして聞こうという。


『最悪アラン大司教が知らなくともコンスタンティンを尋問すればわかるんじゃないかな?』


 アランの面倒さを理解している面々は無言でコンスタンティンを抱える領主の返事を待つ。領主の返事はそれも難しいというものだった。


『コンスタンティンは立場というものが解っていないのだ。都合が悪くなる度にコンスタンティンは何も持たぬ男だと言うし、自分はガルドの大司教であるぞともいう。あれはもう精神が壊れているのであろう』


 自分が何者であるかを本気で認識できなくなっているようだ。ここ一年はほぼアランを、長さでいうと十年以上一人二役生活で捕まっている。ざっと脳内を見た私もあれはもう普通の頭ではないと思う。狂っている人間から聞き出すのは無理かもしれないが、記憶を引き出すのは問題ない。やっぱり私の出番だろう。


『見てきますね。念話人員以外にコンスタンティンから引っ張り出す内容ありますか?魔法使い狩りも生きてる内に引き出したいことあれば今のうちに』


 最終的に馬鹿魔力、トンデモ魔法でごり押す。行き当たりばったり感が激しいけれども。


『さらっと無かったことにしたけど、アラン大司教はどうする? ずっと宙ぶらりんだけどもそろそろ決めるべきじゃない?』


 レイの言葉に無言の肯定が続いた。正直考えたくなかったなぁ。今のところアランを裁くとしたら放火犯だし、それ以外の余罪がコンスタンティンにあると証明するのが正しい。しかしながら領主の今後の流れからして秘密にしないといけないことが多く、内密に処刑でないと都合が悪い。本人もそれを希望しそうでもあるし、大事の前の小事とアデン人的に生きたまま放置していることが不思議なのだとか。死刑判後放置みたいなことがないので生死についても白黒はっきりしてらっしゃる。


『ハラーコ嬢の手に余るのであれば、こちらに譲って欲しいがな。私が裁けば何の問題もない』


 領主は即処分すると請け負ってくれるがなんとなく踏み込めない。処刑決定とわかっていて渡すと罪悪感が消えないのだ。


『アランは操られていたわけですけれども、精神も宜しくない。誰だってなりえる物を殺しちゃえばいいというのは難しい問題ではないですか?』


『確かに誰だって操られるかもしれぬ。しかしながら闇の技術は公表できぬ。裁くのは意思ではなく行為そのものだ。君の国では違う扱いなのかもしれぬがこれがこの国の法だ』


 どうにも情状酌量の余地はないらしい。私が現行犯逮捕をしたので司法権のある領主に引き渡し、精神鑑定やらなしに裁くべきだとか。最終的に領主は一外国人の私が通報と引き渡しをしなければ罪になるぞと言ってくれたので請け負ってもらうことになる。


『ただ、アラン大司教の放火公表は通信要員を消してからになる。地下牢にいれるのはそれまでであればよい』


 話がまた戻り、私はコンスタンティンから記憶を読み取り、残り五人とわかった通信要員確保に転移をする夜を過ごすことが決まった。

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