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だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
ガルド領・教会編
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13日目 まとめて片付け

 テレパシーで領主とレイと三者通信をする。定期的に連絡することになってはいたがホラ村と領主が連絡をとる手段がないため一日そわそわ待たれていた。申し訳ない。今日は身を削っていたのだ。簡単に二人の報告会が終わったので見合い話をすると二人ともに大爆笑を受ける。ひどい。


『うん、でもまぁ向こうが歩み寄るっていうかタックルかましてきてるわけだし、うろうろ情報収集するより効率はいいと思うよ。ふふ』


『ハラーコ嬢も気に入ればガルドに連れてくると良い。ハハハ』


 呑気なおっさん達は他人事だと思って楽しんでいる。ホラ村がある程度落ち着いたので気が弛んでいるのかもしれない。

 予定通り昨日は追加人員とレイをホラ村に送ったので更に警備は増した。レイがついた段階で村長たちとナルガ一家の死刑は伝わっており暗いが村民はおとなしくなったらしい。北軍と違い上等な軍服を纏った部隊長の従兄が領軍をきびきび動かし今朝刑を執行。数人は暴れたようだが身内のみであったので連座を臭わすと丸く収まった。内心かなりヘイトが貯まってそうだが領主主導なので殺生にかかわる。黙るしかない。


『そうそう、ハラーコに依頼があるんだ』


『私もある』


 追加依頼が二人同時にやってきた。

 一つ目は領都の孤児院が分散だが受け入れ可能だとわかり、子ども達を領主館に送って欲しいというもの。喜ばしい。

 二つ目はその領主館の敷地内にスペースをとったのでガルド大教会の魔法関連施設を移設すること。既に約束はしているので子どもの運搬に合わせて行える。

 三つ目にレイの転位焼き付けを中断してテレパシーを優先して焼き付けること。今回のように私が忙しいと困る。レイにポストというか仕事を渡していくためにも必須だろうと私も同意した。

 そして最後にレイナード、アラン、コンスタンティンの世話だ。三人とも私のかけた睡眠から目覚めていない。すっかり忘れていた。尋問どころか起きないのでレイ達ホラ村組はご飯や排泄の心配をしている。


『うーん、夜は一人でいた方が良いでしょうし今全部まとめてぱーっと済ませちゃいましょうか』


 夕食をスペンサーと取らないといけないので今の間に済ませることにした。通信を繋げたままホラ村軍施設の医務室にとぶ。すぐ来るだろうからと領主は急いで領主館の庭に移動し始めた。


「おかえりハラーコ」


「ただいま。じゃあ魔力上げをかけてからの通信焼き付けね」


「よろしく」


 ざっくりレイに魔法をかけて額に触れる。通信は電話やネットのように複雑ではなく魔力を伸ばした糸電話だ。コップの振動ではなく脳に繋いで電気信号を送受信する。回路は簡単だが糸を魔力で代用しているので遠距離になるほどコストが上がってしまう。今後外国へ行くことも考えると掲示板かチャットのように改造した方がいいかもしれない。


「おー。これ王都まで伸ばしても僕だと直ぐに魔力が切れるね」


 バフなしで教会まで届くのは充分多い方だと思う。教会の魔力もちを見て回った限りでは。レイが使いたいときはその直ぐに切れる連絡で私に繋ぎ、私がレイと相手を繋いであげることになった。ワンギリにかけ直すみたいに。


「次は寝坊たちをよろしく」


 任されたレイナードとアランは医務室の隅の寝台にいた。レイはハイラルとご飯を食べている子ども達を呼びにいったらしい。

 さて、どうしようか。レイナードは呪いは解けているがメヌールとアランが眠っている。呪いがなくともパニックだ。挨拶をしたきりのベッチーノが目に入った。


「ベッチーノさん、レイナードに説明を任せていい?」


「お時間ないのでしょう? なんとかしてみます。幸い暴れても取り押さえてくれる方は幾らでもいそうですし」


 よし、レイナードは起こせる。アラン。アランは……起きても良いことが無さそうだ。レイナードより先に起こして鈍感ちゃんをすぐにかけてトイレとご飯。また寝かせてからレイナードを起こす。プランがたったのでアランにパパッと魔法をかけた。


「トイレへゴー」


 動かない。忘れていたが操られていなければ寝たきりだった。ちょうどレイとハイラルが子どもを連れて帰ってきたので回してみる。


「起こしたけど起き上がる体力がないんです。女の私がトイレ付き添うのは不味いですか?」


 教義と常識ではアウトに近い。他に介助者がいなければ仕方がないが、レイとハイラルがいる。言いたいことを察したレイは早々にハイラルに回して重力操作の訓練だと宣った。かわいそうに。

 ハイラルたちを見送ってアランとレイナードの食事を作る。勿論麦粥だ。他に胃に優しく短時間にできそうなものがない。鍋を出して麦を入れて水を注いで時間はや巻き。一度作っているので大体の目標時間がわかっている。蓋を綴じて直ぐに開けば出来上がり。


「魔法ごはんだ!」


「魔法ごはん!魔法ごはん!」


 子どもが大喜び。何故かレイも大喜び。一口ずつ味見をさせてハイラルの帰りを待つ。


「麦粥なんて久しぶりだったー。贅沢だよー」


 普段黒パンを少しにスープの生活な彼らは野菜を詰め込まなくとも麦が沢山食べられる麦粥が贅沢に見えるらしい。こちらの野菜の価格は麦より安いようだ。物欲しげな欠食児童プラスアルファのために鍋を追加して提供する。お誕生会みたいな空気の中でハイラルとアランが帰って来たので麦粥を食べさせて睡眠に戻って貰う。

 次はレイナードだが先に領主たちに確認をとった。


『領主様、子ども達送って大丈夫ですか?』


『人員は揃っていないが場所にはついてある。構わぬよ』


「レイさん読み取るから領主館の地図お願い」


「おっけー」


「ベッチーノさん、レイナード起こします。よろしくお願いします」


「はい」


 レイのマップを読み取ってレイナードを起こし、子どもを連れて転位した。

 魔法移動に子ども達大興奮。レイも大興奮。領主苦笑い。領主が連れていたメイドさんたちに子どもが連れていかれて大人だけになった。


「早速だが場所はここだ。この辺りからあの者の辺りまでの範囲に入れてくれ」


 今度は出すだけなのであっさり。ただインパクトはあるらしい。倒れそうなくらい大喜びなレイを除いて絶句された。


「では捜索するように。我々は次の仕事がある。

 ハラーコ嬢、コンスタンティンはこの屋敷の地下牢に運んだ。起こすだけで良い」


「了解しました。転移で地下まで行きます」


 探索には行かなそうなお付きの人とレイ領主を連れて見えている建物の地下にとぶ。雰囲気満天の地下牢を案内された先にいたコンスタンティンを起こす。


「どこだ? 誰だ? ダークエルフか?」


 ダークエルフに間違われるのはもう慣れっこだ。


「領主様、レイさん。まだ何かありますか?」


「おいっ、どういうことだ? 説明しろ!」


「今のところはないな」


「僕もないと思う。メヌール司祭も起こしてほしいけど彼は治療で色々弱っているからね。あと二日くらい起きなかったら頼んでもいいかな?」


「聞け! 黒エルフ!」


「勿論」


「二日後ならこちらも追加人員がまたできていると思う」


「じゃあ、明日は定期連絡だけで明後日予定ありだと思っておきます」


「呪うぞダークエルフ!」


 その呪いについては今からたっぷり尋問されてね。とりあえずの仕事は終わらせたので叫び声を背にレイは単身で送って私も王都に戻る。多分医務室に私が行くとレイナードが大パニックだろうから。


 静かな王都の夕暮れは近い。あー、スペンサーとの食事はまともなものでありますように。

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