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だらちーとと残念異世界  作者: ちょもらん
ガルド領・教会編
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13日目 見合い②

 逆ハニトラ要員と挨拶を交わした私は鈍感ちゃんを全体にかけて結婚も有りかもしれないと思わせる。おもいっきり断罪ヒロインのような所業だが、帰りは戻すので許してほしい。




 まずは階級的にマッチョとお見合いだ。純情な瞳に見つめられて心が痛い。引き出す情報も特にないので和やかに話す。


「ハンナ司祭は遠い旅路も素早く安全に移動できるとか」


「そうですね。その辺の秘技には自信があります」


「魔力切れは大敵でしょう。何か格闘術をお持ちで?」


 わかりやすく脳筋だ、この人。久しぶりに記憶群をフル活用して格闘談義をして時間を潰す。マッチョは大満足で明日も時間をと約束を交わして帰っていった。なんだか色々と辛い。




 次に二人きりで話すのは不機嫌だ。ヒューマンと見合いなんて不愉快だと眉間に皺を寄せている。鈍感ちゃんの結婚願望は獣人に向いたらしい。

 魔道具か魔信部署との繋ぎを話したいが物凄い不機嫌。話にならない。魔獣ラブらしいのでアイテムボックスに入れっぱなしにしていたローウィの牙を貢いでみる。


「素晴らしい。これが北の魔獣。なんて鋭く美しい牙なんだ」


 貢いだ分の機嫌は良くなったが牙称賛を時間いっぱい話された。どっちにしろお話ができる人物ではない。研究室関係の情報はそれだけで優先度が下がる。監視もあるだろうからさらりと触れて脳内スキャンは不可能だ。いつものように本人に鈍感ちゃんをかけて近づいても他者に見られる。




 ここで昼食を含めての見合いで昼ドラが出てきた。情報云々ではなく人生について語って貰う。有意義であった。昼ご飯を食べながら堪能するあたりがぴったりである。流石スペンサーの一押し。




 一日中見合いなのでだれてきたがいよいよ本命だ。暗黒微笑がくる。旅での戦闘の話などを捏造して魔法交換の段階まで盛り上げた。参照は北軍魔導師レイの魔王プレイだけども。同程度の焼き付けを行うとなり額に手を伸ばした所でお馴染みの脳内スキャン。


 パチンッ


 何かに弾かれる。流石、暗黒微笑。自衛もバッチリか。ん? ということは最初の結婚願望もかかっていない?


「素敵な魔法だったのでしょうね。あの人数にするりと魔法をかけられるあなただ。尋問を受けてくださいますよね?」


 焼き付け以外の魔法だと認識して弾いたということらしい。くっくっくっという笑い声が厨二病らしさを引き立てまくる。耐えろ腹筋。


「ディラン、よせ。焼き付けの仕方が違うのだろう。ガルドの焼き付けを先に見せてもらえ」


 思っていた通り監視がついていた。最初に迎えに来てくれたスペンサー。彼は隣室で話を聞いていたらしい。何を条件に焼き付けを認識しているのかわからないが魔力を通して私の回路を見るという。既にメヌールに貰ってから修正しやすいように魔改造はしているので心配はない。暗黒微笑が私の左手を掴んだので焼き付け回路に弛く魔力を通す。


「確かに違う……申し訳ありませんでした」


 暗黒微笑は戸惑いながら謝罪を繰り返した。こちらも少しは焦ったが多分暗黒微笑の方が百倍焦っている。最初の結婚願望の鈍感ちゃんについて言及せずに帰ったのだ。魔法戦力だが案外思考チャートは脳筋なのかもしれない。あの魔法拒否の防衛策を早めに対処するか脳筋を刺激して自主的に喋らせるかしなければ。難易度が少し上がった。




 最後はエタブリ。もう私も疲れたのだが無表情のエタブリを見ると私から話さねば何も始まらなそうだ。清めについて詳しいはずなので人員や規模について引き出したい。しかし表向きはただの布教外務室の師匠をもつ見習い。暗黒微笑の件があるので下手に魔法も使えないとなるとどう話を持っていったものか。差し障りない質問をして二言三言で会話は終わる。普通の気まずいお見合いだ。エタブリもこれはあまり良くないと思ったのか逆に質問をしてくれる。うぇるかむ。


「ハンナ司祭は還俗後、どうなさりたいのですか? 教会を離れて貴族として生きていくと言っても魔法使いの女性には選択肢が様々でございましょう」


 貴族の生活も魔法使いの女性の生活もわからん。エタブリ自身結婚はする気かわからないが(鈍感ちゃん弾きがわからないから)、上司からお便利通信兵を落としてこいと言われているはずだ。何を言っても賛同するだろう。魔法禁止状態で逆に落とせる自信はない。素直にわからないと言うしかないのかも。


「それは考えていません。夫となる人がどこで何をなさるかも未定ですから。家にいろと言われればおりますし、仕事をあちらから助けろと言われればそちらに行くでしょうし。あなたはどうお考えですか?」


 何も答えずそっちはどうよという会話運びとしては最悪のふりをしてみた。エタブリは少し考えてから答える。今まで教会を出ることを考えてなかったのだろうな。


「私の場合は兄が家督を継いでいるので分家として兄を支えることになるでしょう。兄は軍人ですので軍属になるか兄の私兵になるかです。実家に抱える魔法使いはおりませんので妻になる方にはそちらをお願いするかもしれません」


「それは素敵なお考えですね。兄弟仲はよろしいので?」


 お互い感情が込められてはいないが一番まともに見合いをした気がする。エタブリは終始礼儀正しくはあった。




 全ての見合いが終わった所でスペンサーがやってきて誰を気に入ったか室長に伝えると言ってくる。暗黒微笑とエタブリと答えるとにこりと微笑む。


「僕はダメでしたか?」


 そういやスペンサーも見合い相手だった。渾名はチャラ男にして見合い継続は三人になる。領主のオーダーはかなり難易度が高い。

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