29.時々大胆
というわけで荷物を置いて食堂へ。あ、なんか食堂って言ったら感じ違うな。レストラン?
メニュー相変わらずわからない。値段はと……高っ! 昼よりさらに高いです。
小声で類に相談です。
「どうする?」
「メインの安いの……高いけど、安い方のたのもう」
というわけで何来るのかなー。
「なあ、明日は王都の中心に行こうか。多分真ん中だろうから」
「まあ、観光客のフリで聞いてみたらいいんじゃない?」
「あ、じゃあ、すみません」
私はそこにいた店員さんに声をかける。
「王様がいるとこってどこです?」
「ああ、王宮ですか。まあ、今は王もいませんが少しお待ち下さい」
と、店員さん奥へと消えました。
「お前時々大胆だな」
「だって、ここに泊まってるってことは王都の人間じゃないでしょ?」
「ああ、そうだな。確かに」
と、店員さん戻って来ました。何か持ってます。
「これをお使い下さい。王都は広いのではじめての方ですと迷いますので」
差し出されたのは地図だった。あるんだね地図。いつも魔法で描かれてたから。あ、これも魔法描き?
「あ、ありがとう。助かります」
店員さんは立ち去りました。さすが値段だけのことあるなあ。
「ね、ほらー。これで明日はバッチリだよ!」
地図をヒラヒラ、二人に見せます。
「やるな! アリス。」
「まあ、良くやった。けどお前それ使えないだろ? 見せてみ?」
う、どうせ方向音痴だよ。類に地図を渡します。
と、料理来たー。うわー! めっちゃ豪華、そして美味しそう。
類にも隆にも交換してもらい全部味わう。うう、やっぱり幸せー。値段だけのことあるなあ。
「アリス食べ過ぎじゃね?」
「違うもん。って言うか、類も隆も私よりいっぱい食べてるじゃない!!」
「アリス、当たり前だろ、それは。アリスが僕らより食べたらビックリだよ」
はい。そうです。比べる対象が違います。ああ、ヤバイお腹いっぱいで眠りそう。
「アリス寝るなよ」
「寝ません!」
類の指摘に全否定しつつ目はトロンです。
部屋に返ってシャワーを浴びて洗濯行く為隆と順番を待ちます。
シャワーだったけど、石鹸が! いい匂いでした。格の違いをいちいち見せつけます。歯ブラシも置いてたなー。やっぱり安宿とは比べられないね。
「なあ、アリス」
「なあに?」
眠りそうだったので隆が話しかけてくれて良かった。
「王宮へ行ってどうするんだ? なんか気持ち決まってるのか?」
「王宮見て王都を見て気持ち固める」
「じゃあ、ある程度気持ち固まってるんだな?」
「うん。隆は?」
「僕は……うーん。まだかな」
「そっか。隆には難しいよね」
「え? なんで?」
と、ここで類が出てきた。
隆は疑疑問符をつけたままシャワーを浴びに行った。
隆、隆は優しいから。自分を犠牲にしてもって思いそうだから、今までの自分の人生を捨てても異世界のこの世界の人の為にって思いそうだからだよ。恥ずかしいから直接言うのはなー。と思っていたら類が気になってたみたい。
「何の話?」
「ああ、王宮見てどうするのか決めてるのって聞かれたの」
「どうするんだ?」
「王宮見て王都見て気持ち固める」
「そっか、じゃあだいたいは気持ち固まってるんだな?」
「うん。類は?」
「内緒」
「は?何それズルい!」
「明日わかるよ。明日な」
「人に聞いといて……」
「あ、隆は?」
「内緒!」
「それ今俺のセリフを聞いたからだろ、隆に聞けばわかるぞ」
う、内緒の意味が全くない。
「まだだって」
「そっか」
「うん」
隆らしい回答だよ。
洗濯場なかったです。洗濯してくれる制度でした。……困る下着まで出せないじゃない!
なので洗面所で手洗いします。類も隆も。男でも嫌なんだーと思いつつ、ロープ張れないと悪戦苦闘。安宿に慣れた私達です。
「おーもーすっかり暗いな」
ベットに入って睡眠タイム。王都に来たって興奮が今さらに来て眠れない。
「でも、明るいね」
「ああ、明かりがこんなにあるってなー」
いつもは灯りつけれないので暗闇いるのに慣れてるからなあ。明るい。
「真っ暗なのに慣れてたね」
「ああ、王都の一歩前の街もいつもみたいだったのにな」
「王都だけ特別なんだね」
「んー。そうだなー」
そろそろ眠くなってきた。明日は王宮へ! 早起き明日は出来るかな?




