表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/34

21.ファミリー?

 うーん。どうなんだろう。


「アリス。どうした?」


 類はすぐに気づいて聞いてきます。道はこの石畳の道は一本なんだけど脇道というのか周りからこの道へ入って来るのもあるんだよね。最初の川沿いの道も、港町から宿屋街と次の街との間もずっとあったんだけどね。目指せ王都って気持ちだったんだけど……


「他の道か?」

「うん」


 隆の問いに返事します。いいのかな? このままで。

 あ、もちろん歩き続けているよ。だって、ビッグダース怖いし。


「確かに、ケンタウロス王都に行けとは言ってないもんな」

「でしょ?」

「それにこの国の端っこの村、いや森の中にわざわざ置いてかれたもんな」


 類の言葉に思い出します。森の中。


「だよね。王都を見せたかったら」

「王都に移動させるよな」

「でしょ! でしょ!」


 隆に激しく同意して類を見る。


「わかった。見に行こう。ただし、泊まるとこあるかわかんないんだから、次の街まで行って泊まって明日見に行こう」

「うん」


 類の提案に子供のように頷きます。好奇心なのかケンタウロスの言葉を思い出したからか。このまま王都に行っていいのか不安になった。ケンタウロスの真意はどこにあるんだろうと。……あ、王探してたんだ。ま、いいか。



 この道の先はどんなんだろうと、一時中断していた会話に花が咲きます。

 ジュンさんとこのようにすっごい田舎があるんだろうかそれともちょっとした村? 町?

 私達の想像力はそのうち次の街にまで。また港町ぐらいか、今日出た街ぐらいか。

 暇なんです。だって、ずっとただ、ただ歩いてるんだもん。




「そろそろ摘むか!?」

「おう」

「あい」


 類の言葉に俄然張り切って返事する、隆と私。

 会話も限界にきた頃そろそろ空もいい感じになって来たので、まだまだある草摘み開始です。暇して歩いてると、こんな作業もイキイキするんだよね。



「お、門だ」


 と、類。


「札、札」


 まだ夕焼けになりそうな空って時に前に門が見えてきた。壁も門も同じようだけど、今日出た街よりは大きい。

 港町ほどではないようだけど。

 私は札を探して握りしめる。これ、何度やってもドキドキするなあ。

 今度もすんなり通れました。入る時より出る方が厳しいな。王都に向かってるからかな?




「まずは宿屋だね。」


 宿屋のランク、外からでもだいたいわかるようになってきました!

 成長してるね私達! ってことで本日の宿屋に二泊の申し出をして、例の草を売れる店を探します。ここはちょっと広いからなあ。と、行列が!


「あ、あれ!!」


 はい。ロイリの店です。


「これとかを乾燥させたのがやっぱりロイリって言うんだよ」

「でもファミリーとか!」

「何だよそのファミリーって」


 私の言葉に類が鋭く突っ込みます。


「いやこれを乾燥さすの独特じゃない? だから、こうファミリーでやってて独自の製法とかで」

「昼食べたのも同じような乾燥だったけど?」


 隆はソフトなのに鋭い突っ込みいれます。


「だよね。一緒だよね」


 認めます一緒です。独自の製法じゃないです。


「まあ、どっちでもいいじゃない? それ知ってもなにもならないし」

「だよなー」


 そうなんだよ。それがどっちでもいいんだよ。私達はただ売りに来るだけなんだもん。そうなんだけど……気になる!! どっち?

 今日は大きな街なのか時間なのか並んでようやく売れました。今日は三万近く。だんだん腕を上げる私達。

 何のスキル?



 さあて、次はご飯は! そろそろ国独自ってのが出てくる? と思いきやこの街にもいろんな料理ありました。今日はおねだりしてイタリアン! たいして値段変わらないんだけど……ただの好みですか? 私のわがままですか?

 食事中に聞いた話で私達は凍りつきます。次の街は一週間かかるって! 歩き続けて一週間……想像を超えます。いや、王都まで一月かかるって知ってるから覚悟したけど、これはヘビーだな。取り合えず脇道見に行こうって言ってて良かったよ。気分変えなきゃやってられない。

 その話、隣の席から聞こえてきた途端に私達すっかり無口です。二人とも旅を想像してゲンナリしてるんでしょう。私もだけど。



 宿に向かいながら類が言います。


「明日脇道見に行ってまた帰りに草を取ろう、で明後日は買い出しだな。このまま旅はできないからな」

「そうだな。食糧買い込まないと。あと必要なものあれば買おう」


 心配そうな隆はそう返事しました。


 一週間の旅って! そんな長い旅なんてしたことないよ。まあ、歩きで旅などした事最初からないんですが。


 *


 宿に着いてもテンション上がらず。洗濯場でパジャマの替えないの困るという私の発言も明後日買おうと一言で流されました。

 やっぱり衝撃の一週間です。ここで休んどいて正解だね。まあ、明日どこまで行くかわかんないんだけど。

 洗濯物を干すといつも無口な二人ですが今日はずっと無口です。うう、空気重いよ。

 この旅はじまって以来の空気重さ。今までが軽すぎだったんだけど。

 あー、やっぱり暗いと眠い。疲れてるしね。お休み。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ