13.そして服を買いに行く
今日も大量! 大量!
カゴがあるから昨日よりも多く取れた。
類と隆が歩きながら数え計算してる。類も隆も数学得意だもんな。
私だけのんびりと歩いて街に向かってる。
「多分百五十万くらいだな。やっぱり水菊は相当高いんだな」
「僕もそれくらいだった」
類と隆の計算があってるならそれくらいだろう。
「今日は値段交渉、助言なしでいけるね」
私ののんびりな答え。いいんだろうか。二人に任せっぱなしだなー。
昨日よりも早い時間で人もまばらだった。
門を入るのはスルーだった。まあ、昨日みたいに門番には見られてたけど。
これもこっちの人には毒なんだろうな。私はカゴ上にある草花を見て思った。あ、だからか! 森に入れない。森には草花だらけだし。え、え! 食べる物はいいの? 動物は?
まだこっちのシステムがわかんない。ジュンさん農作業してたんだと思ったけど、何してたんだろう?
そんなこんな考えてたら、ロイリの店に着いた。
「お、まだ空いてるな!」
類が言う通り、本当だ店の前に何人か並んでるだけだった。
その列に加わり黙って並ぶ。会話でバレるのを防ぐ事もあるけど、緊張したりいろいろして疲れてるのもあった。昨日のように皆離れてる。今日のも有毒なんだね。
すぐに順番となり店内へ。類も隆も再度値段を確認してる。
「どう?」
私の問いに二人は頷く。計算通りらしい。
私達の持っている草花の量を見て、店主は私達の顔を見る。
「ああ、昨日の」
そう言ってから店主は奥へと消える。
また樽を浮かせて持って来た。
「では種類別に計りますので」
私達は黙って頷く。
黙々と店主と私達は作業を続ける。少しずつしか計れないので時間がかかる。有毒だから一度に多くは持てないから秤も小さいものしかないみたい。どうやって乾燥かすんだろう? 乾燥が変わってるからきっと魔法で乾燥さすんだろな。魔法で秤に載せればいいのに……。
と、いらぬことを考えてたら、どうやら計算が終わった店主が言う。
「では百五十六万ペギーでどうでしょう?」
きっと昨日見破られたからだろう。今日は足元見ないですんなり値段を出した。こんなに大量に持って来るしここは私達を掴んでいた方が得策だと思ったのかもしれない。
「じゃあ、それで」
類は即答した。これで、札に支払った分返ってきてはいないけど、十分な金額だと思う。服も買える! やっぱりこれじゃあ、嫌だったんだよね。
類がお金を受け取り、私達はロイリの店を後にした。
*
「服だね! 服!」
さっきまでの疲れが吹き飛ぶ。
「あの服屋は辞めよう。今度は服屋探しだ」
類が言うと隆も言葉を挟む。
「あのさあ、この先なんだけど、次の街まで三日かかるだろう? これまでの感じだと宿屋があるかわからないだろ?」
「あ、そうだね。魔馬車買えても魔力ないしね」
そう答えたけど、うう、つくづく魔法の世界で魔力ないのが恨めしい。
「だからさ、野宿にならない道具、キャンプ用品的なものも探そう」
「そうだね。地面はもう嫌だ」
地面で寝たのを思い出して反応する。
そうしてちょっといい服探しと野宿にならない物を探して私達は店を覗き続けた。
「ねえ、ここいい?」
私のおねだりです。何軒、類にここじゃないと言われたか。
「値段だな」
うう、やっぱりそうだよね。三人で入り即座に手近な服の値段を類がチェック。
「いいぞ」
やった!
今着てるのと大違い。だけど、見た目にこだわると歩くんだから、あとが辛い。見た目プラス動きやすさプラス値段だ。
二着を迷っていると隆が来た。
「なあ、洗えないけど、持ち物見られるんだろ? 一着じゃ不自然じゃないか?」
「そうだな。今の服は寝る様にして着回した方がいいな」
やった!
「じゃあ、これ!」
類は手に取り値札のチェック。
「まあ、いいだろう」
許可出たよ。やったね。多分安く札が手に入ったからだ。だって今の所持金全部でやっと三人分だっただもんね。
私の服は済んだ。あとは二人のだけど。
「あそこいいんじゃない?」
私の言葉に二人が
「あれはない」
「そこはちょっと」
結構好みにうるさいなあ。
「ないね。キャンプっぽいの……」
疲れてきた私が音をあげる。
「お、ここよくない?」
類、聞いてるの私の話?
「いいな!」
隆まで。
というわけで二人の好みにあった店に入った。二人似てるのって服の趣味が似てるから?
と、二人で楽しげに選んでます。私は蚊帳の外だよ。私が服選んでる時も二人でずっとしゃべってたし。いいよね、同性! なんか弾かれた気分だよ。
何だかんだと二人でジャレあって決まった様です。二着ずつ選んでます。類と隆二人でもうお会計へ。いいんだけどね。別に私に相談なくて……ってか! 靴まで選んでるし!
店を出て私の苦情が飛びます。
「靴! 私も靴!」
「はいはい。アリス。探そうね」
隆に子ども扱いで言われてます。いいよ、自分で探すよ。
「あー。そういやあの辺にあったよな」
類が指差す方に行き見つけました靴屋さん。昨日のご飯選びの時だ。あーそうだ。この靴やだなー、あれいいなあ、って思った。類よく覚えてるな。私なんて店見過ぎと疲れでよくわかんなくなってるのに。




