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歌い狂って魔物と化した少女が霧のこもった水上で死神と向かい合う。

すでに残された陸地は数少ない。

世界は水と霧に覆われている。


  ──わたしはここにいる

    そこかしこにいる

    至るところにいる


 死神は鎌を振るって追いかける。


 少女──妖女は笑いながら、ざらついた声で歌う。


  ──わたしはここにもいる

    そこにもいる

    あそこにもいる

    誰もわたしを見つけない

    わたしもわたしを

    見つけない


 目隠しを取り外す。血を流す空洞の眼窩がんかで妖女が笑う。

 死神の鎌を避けながら、今度は死神に目隠ししようと追いかける。

 死神の劣勢。とうとう追い詰められる。


  ──わたしはここにいる

    そこかしこにいる

    そこら中にいる

    お前もわたしを見つけない


 だが彼女の歌に水の乙女たちの歌うような誘うような透明な声が重ねられる。

(見つけた 見つけた とうとう見つけた)

(水の道がそこら中につながったから)


(いらっしゃい いらっしゃい わたしたちの元へいらっしゃい)

(ここへ帰っていらっしゃい)


(自らの涙で溺れ死んだあなたは水の乙女)

(ここに帰っておいでなさい)


(わたしたちと一緒にすすり泣きましょう)

(わたしたちと一緒にむせび泣きましょう)

(わたしたちと一緒に踊って仲間を水へ誘いましょう)


(帰りましょう)

(帰りましょう)

(帰りましょう)

 

 水の乙女たちに閉じ込められ身動きできなくなった妖女の腕をすかさず死神は切り落とす。

 世界を切り裂かんばかりの悲鳴をあげた妖女を水の乙女たちの幾本もの腕が絡み付き沈めていく。

 

世界から水は少しずつ引いていった。



       ***


 やがて生き残った人々よる立て直しがようやく軌道にのったころ、天から大きなシャボン玉に包まれてたくさんのおみやげと共に子供たちが降ってきた。


                      

《了》

    


  

 

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