音楽を学びたい!
ードイツ《ベルリン》ー
ここは音楽が溢れている。友達に話しかければ、クラシック音楽のことばかりである。非常に心地よい場所だ。高校生で初めて留学した俺はドイツの素晴らしさに感動していた。
ー日本《東京都》ー
俺は成田 将。現在高校3年生だ。好きなことはクラシック音楽を聴くことである。初めて聴いたクラシック音楽は、NHK交響楽団が演奏したベートーヴェン交響曲第6番『田園』だ。オーケストラが奏でる豊かな旋律はベートーヴェンが生きた町の自然を思わせる。そこから私の音楽人生は始まったのだ。高校2年生の時にドイツに留学した。あの指揮者カラヤンが生きた国だ。たった1ヶ月だったが、日本と違う環境に感動し続けていた。
俺は楽器の演奏はしない。聴くことが好きなのだ。周りの音楽仲間は皆吹奏楽部に行ってしまった。俺だけ楽器の演奏ができない。でも良い。今日も帰って音楽が聴きたい。今日はガーシュウィンのラプソディー・イン・ブルーでも聴こうか。
家に帰ると母が迎えてくれる。父は俺が中学3年生の時に亡くなった。膵臓癌だった。俺がクラシック音楽が好きだというと、毎月CDを買ってくれていた。高校に入学できたらステレオを買ってくれると言ってくれていた。だけど、それを目前にして亡くなった。代わりに母が買ってくれた。母は教師をしており、家はそこまで貧乏というわけでもなかった。最近は俺が図書館で自習して遅く帰るから、母の帰宅の方が早い。夕食はいつも一緒に食べる。2人だけの家族だから。
食事が終われば、俺はリビングで音楽を聴く。母もクラシック音楽が好きだからいつもその話ばかりしている。
母はヴァイオリンが弾ける。大学では勉強の傍らオーケストラに所属していたそうだ。実のところ、そんな母が羨ましかった。俺には想像できなかった。「クラシック音楽を演奏する」ことがどんなものなのか興味もあった。だが言えない。今は受験生であり、さらに大学生になると金もかかる。今やるべきことをやるしか俺は考えていなかった。
俺には友達がいた。橋本 卓と言う。彼は吹奏楽部でテューバを演奏しており、ソロコンテストでも賞を総なめしていた。卓は時々俺にこう言う。
「クラシック音楽は楽しいぞ。いつ聴いても新しい感動がある。」
と。俺は聴き手側であるが卓と同じ考えだ。ある日、俺は卓にこう問いかけた。
「卓は進路考えているの?」
卓は即答した。
「もちろん音大を受けるよ。」
それはそうだ。卓は奏者として優秀だから。おまけに頭も良い。俺とは違う。いろんな大学から声もかかっているようだ。
俺は最近自分がどうなるのかが不安になる。理系だから就職もしっかり考えて母を支えたい。だけどそれと別にある夢を抱くようになった。「オーケストラに所属したい」と。もちろん今のままでは無理だが。
卓のように輝かしい未来が見えているわけではないが、いつでも支えてくれた両親の期待を裏切るようなことはしたくなかった。




