3/428 隠口能 泊瀬山之 山際尓
題詞:土形娘子火葬泊瀬山時柿本朝臣人麻呂作歌一首
題訓:土形娘子(ひぢかたのをとめ)を泊瀬山に火葬(やきはふ)れる時、柿本朝臣人麻呂がよめる歌一首
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原文:隠口能 泊瀬山之 山際尓 伊佐夜歴雲者 妹鴨有牟
訓読:こもりくの 初瀬の山の 山の際に いさよふ雲は 妹にかもあらむ
仮名:こもりくの はつせのやまの やまのまに いさよふくもは いもにかもあらむ
***私的解釈***
訓読:こもりくの 初瀬の山の 山の際に いさよふ雲は 妹にあらむかも
仮名:こもりくの はつせのやまの やまのまに いさよふくもは いもにあらむかも
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題詞:溺死出雲娘子火葬吉野時柿本朝臣人麻呂作歌二首
題訓:溺れ死ねる出雲娘子(いづもをとめ)を吉野に火葬(やきはふ)れる時、柿本朝臣人麿がよめる歌二首
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原文:山際従 出雲兒等者 霧有哉 吉野山 嶺霏<d>
訓読:山の際ゆ 出雲の子らは 霧なれや 吉野の山の 嶺にたなびく
仮名:やまのまゆ いづものこらは きりなれや よしののやまの みねにたなびく
校異:c→d [矢][京]
c:雨冠に「彳糸攵」
d:雨冠に微
***私的解釈***
訓読:山の際ゆ 出雲の子らは 霧なるや 吉野の山の 嶺になびきぬ
仮名:やまのまゆ いづものこらは きりなるや よしののやまの みねになびきぬ
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原文:八雲刺 出雲子等 黒髪者 吉野川 奥名豆颯
訓読:八雲さす 出雲の子らが 黒髪は 吉野の川の 沖になづさふ
仮名:やくもさす いづものこらが くろかみは よしののかはの おきになづさふ