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私的解釈で詠む万葉集  作者: あ
3巻
16/74

3/249 三津埼 浪矣恐 隠江乃 舟公宣奴嶋尓

原文:三津埼 浪矣恐 隠江乃 舟公宣奴嶋尓

訓読:御津の崎 波を畏み 隠江の 舟公宣奴嶋尓

仮名:みつのさき なみをかしこみ こもりえの ?? ??


***私的解釈***


漢文:奴恐浪三津埼、宣()舟乃隠江、(行)尓嶋矣

訓読:御津の崎 波を恐み 隠江の 来る舟に乗り 奴は嶋に

仮名:みつのさき なみをかしこみ こもりえの くるふねにのり やっこはしまに


御津の崎の波は恐ろしかったので、入江にやって来る船に乗り、島へ向かいます。


わざわざ「宣」「公」を使ったのは天皇の勅命だったからか?


~~~~~~


3/250

原文:珠藻苅 敏馬乎過 夏草之 野嶋之埼尓 舟近著奴

訓読:玉藻刈る 敏馬を過ぎて 夏草の 野島が崎に 船近づきぬ

仮名:たまもかる みぬめをすぎて なつくさの のしまがさきに ふねちかづきぬ


(一本云)

原文:珠藻苅 處女乎過而 夏草乃 野嶋我埼尓 伊保里為吾等者

訓読:玉藻苅る 乙女を過ぎて 夏草の 野島が崎に 吾等は庵す

仮名:たまもかる をとめをすぎて なつくさの のしまがさきに あらはいほりす


~~~~~~


3/251

原文:粟路之 野嶋之前乃 濱風尓 妹之結 紐吹返

訓読:淡路の 野島が崎の 浜風に 妹が結びし 紐吹き返る

仮名:あはぢの のしまがさきの はまかぜに いもがむすびし ひもふきかへる


1句目が4音しかないが、粟路を「あはみち」とか「あは()ぢ」みたいな発音をしていたのかなと思う。


~~~~~~


3/252

原文:荒栲 藤江之浦尓 鈴木釣 泉郎跡香将見 旅去吾乎

訓読:荒栲の 藤江の浦に 鱸釣る 海人とか見らむ 旅行く我れを

仮名:あらたへの ふぢえのうらに すずきつる あまとかみらむ たびゆくあれを


(一本云)

原文:白栲乃 藤江能浦尓 伊射利為流 泉郎跡香将見 旅去吾乎

訓読:白栲の 藤江の浦に 漁りする 海人とか見らむ 旅行く我れを

仮名:しろたへの ふぢえのうらに いさりする あまとかみらむ たびゆくあれを


~~~~~~


3/253

原文:稲日野毛 去過勝尓 思有者 心戀敷 可古能嶋所見 [一云 湖見]

訓読:稲日野も 行き過ぎかてに 思へれば 心恋しき 加古の島見ゆ

仮名いなびのも ゆきすぎかてに おもへれば こころこほしき かこのしまみゆ


(一云)

原文:稲日野毛 去過勝尓 思有者 心戀敷 可古能湖見

訓読:稲日野も 行き過ぎかてに 思へれば 心恋しき 加古の淡海見る

仮名:いなびのも ゆきすぎかてに おもへれば こころこほしき かこのあふみみる


~~~~~~


3/254

原文:留火之 明大門尓 入日哉 榜将別 家當不見

訓読:燈火の 明石大門に 入る日かな 漕ぎ別れなむ 家のあたり見ず

仮名:ともしびの あかしおほとに いるひかな こぎわかれなむ いへのあたりみず


~~~~~~


3/255

原文:天離 夷之長道従 戀来者 自明門 倭嶋所見 [一本云 家門當見由]

訓読:天離る 鄙の長道ゆ 恋ひ来れば 明石の門より 大和島見ゆ

仮名:あまざかる ひなのながちゆ こひくれば あかしのとより やまとしまみゆ


(一本云)

原文:天離 夷之長道従 戀来者 自明門 家門當見由

訓読:天離る 鄙の長道ゆ 恋ひ来れば 明石の門より 屋戸のあたり見ゆ

仮名:あまざかる ひなのながちゆ こひくれば あかしのとより やどのあたりみゆ


~~~~~~


3/256(15/3609)

原文:飼飯海乃 庭好有之 苅薦乃 乱出所見 海人釣船

訓読:笥飯の海の 庭よくあらして 苅薦の 乱れ出づ見ゆる 海人の釣船

仮名:けひのうみの にはよくあらして かりこもの みだれいづみゆる あまのつりぶね

(15/3609 又曰)

原文:氣比乃宇美能 尓波余久安良之 可里許毛能 美<太>礼弖出見由 安麻能都里船

校異:多→太 [類][紀][細]


(3/256 一本云)

原文:武庫乃海 舳尓波有之 伊射里為流 海部乃釣船 浪上従所見

訓読:武庫の海の 舳にはあらし 漁りする 海人の釣船 波の上ゆ見ゆ

仮名:むこのうみの へにはあらし いざりする あまのつりぶね なみのへゆみゆ

校異:海舳尓波 [紀]朱書 [全註釈] 海能尓波好 [訓 海嬥庭よ邙灾ら賖]

(15/3609)

原文:武庫能宇美能 尓波余久安良之 伊射里須流 安麻能都里船 奈美能宇倍由見由

訓読:武庫の海の 庭よくあらし 漁りする 海人の釣舟 波の上ゆ見ゆ

仮名:むこのうみの にはよくあらし いざりする あまのつりぶね なみのうへゆみゆ


***私的解釈***

(3/256 一本云)

漢文:之有波尓上(之)海乃武庫、所見舳従浪釣船乃海部為流伊射里

修正:武庫乃海 上尓波有之 伊射里為流 海部乃釣船 浪舳従所見

訓読:武庫の海の 上に波あらし 漁りする 海人の釣船 波の上ゆ見ゆ

仮名:むこのうみの うへになみあらし いざりする あまのつりぶね なみのへゆみゆ


武庫の海は荒れていて、船の操縦も大変そうに見える。


上と舳を逆にしただけ。

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