3/236 不聴跡雖云 強流志斐能我 強語 比者不聞而 朕戀尓家里
原文:不聴跡雖云 強流志斐能我 強語 比者不聞而 朕戀尓家里
訓読:いなと言へど 強ふる志斐のが 強ひ語り このころ聞かずて 我れ恋ひにけり
仮名:いなといへど しふるしひのが しひかたり このころきかずて あれこひにけり
***私的解釈***
修正:跡云雖不聴 強流我志斐能 強語 比者不聞而 朕戀尓家里
訓読:聴かねども 強ふるが志斐の 強ひ語り 頃は聞かずて 吾れ恋ひにけり
仮名:きかねども しふるがしひの しひかたり ころはきかずて あれこひにけり
聴きたくないのに聞けと強いてくる語りが、志斐の「志斐語り/強ひ語り」。近ごろは聞かないので、恋しく思います。
「〜といへども/いふとも」構文の「と」「いふ」が残っていて読み手を混乱させる歌は、他にもあるので注意。
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原文:不聴雖謂 語礼々々常 詔許曽 志斐伊波奏 強<語>登言
訓読:いなと言へど 語れ語れと 宣らせこそ 志斐いは申せ 強ひ語りと詔る
仮名:いなといへど かたれかたれと のらせこそ しひいはまをせ しひかたりとのる
校異:話→語 [紀]
***私的解釈***
修正:謂雖不聴 語礼々々常 詔許曽 志斐為奏波 強<話>登言
訓読:聴かずとも 語れ語れと 宣らしこそ 志斐申ささば 強ひ話と言ふ
仮名:きかずとも かたれかたれと のらしこそ しひまをささば しひはなしといふ
聴くつもりもないのに「語れ語れ」と命令してきて、いざ志斐が語り申せば「志斐話し/強ひは無し」と返すのでしょう。
伊→為(助動詞「す」)。