ホームルームにて
「席替えをします」
初めての授業が終わり、これが終わったら帰宅だというホームルームにて担任は言った
「いや、まだ入学して二日しか経ってませんよ」
「だから?やりたい時にやるの!はい、クジ」
担任は教卓に紙製の四角い箱を置くと、黒板に席の
配置図と番号を書いた
「書かれた番号に磁石を貼ったらそこが新しい席よ。さてどうなるかしら」
「…何だか嫌な予感がしますよ担任」
…そして、全員が引き終わり、席につくと
「な、なんじゃこりゃあ!?」
担任は教室を見渡すと、驚愕した
全く席が変わって無いのである
「んじゃおつかれした〜」
「ま、待ってよ!次は私が引くから!」
「はぁ??」
やれやれ、鞄を既に背負っていたのに
やり直しとは。スコップで地面に穴を空けたと思ったら、土をそこにかけられたみたいな感覚だ
「まずは一番からね、えっと…1か」
…また先生も全員分引き終わると
「なんで全く変わらないのよ!!!」
「だから言ったでしょ、嫌な予感がするって」
眉を逆立て、担任はくじ引きの箱を握りつぶした
周りを見ると、既に何人か帰ったようだ
「…まあ席なんて勝手に変えればいい。それより
今日は決めたいことがあるの」
「ああ、委員会ですか?確かに学級委員長も決まってないですからね」
「そんなもんは後回しよ」
担任はぐふぐふ笑った
「今日は学園祭でこのクラスが何をやるかを軽〜く
決めようと思いま〜す!」
のはぁぁ?!(俺は思わず廊下まで転がった)
「先生…学級委員長…は?」
「んなもんてきとーに後で決めればいい!じゃ、
何か意見がある人〜!」
真っ先に手を挙げたのは音無 佳苗だった
「ホルモン焼き!!レバニラ炒め店!人体解剖展!
え〜と後は…」
「音無さん、欲張りさんはダメよ。アイデアは良いけれど」
「ごめんなさ〜い」
…まずい、このクラスで模擬店だけは自由にやらせてはいけなかった。耳鳴りがしてきた
「トマトジュース屋!」
「中古レコード屋!」
「絵画展」
「質屋!」
「お化け屋敷!」
「も〜みんな欲張りさんね。でも素敵過ぎて迷っちゃうわぁ」
酷く頭痛がして、俺はバックの薬を手のひらいっぱいに飲んだ。外はもう夕方、グラウンドから部活動の声がする
「で、夏目金之助さんは何か意見ある?」
「…俺ですか?」
そもそも中学の学園祭って模擬店やるもんじゃ無いだろ。こう、作品を展示するとか
「みんなで作った作品を展示すればいいんじゃないですか?モザイクアートみたいな」
「それ!!」
「それいい!!!巨大な絵画をみんなで作るみたいな!!じゃあそれに決定!」
すぐさま、俺以外のクラスメイトは不満を顕にした。そりゃそうだろ何となく分かっていたよ
「で、先生学園祭はいつなんですか?」
「ああ、12月の前半なのよあはは」
「ふ」
「ふざけんなぁああぁあああぁあ!!!!!」
「ひぃっ〜ごめんなさい!」
俺は黒板に向かって机を思いっきりぶん投げた
< 夏目金之助 1年2組 出席番号19番
教師に対する粗暴及び、器物損害により
一週間の停学処分とする>