残念な知らせ
辞書の様な物を抱えて入ってきた担任は至って
普通のマダムだった。小太りでシワが多い緑色のガーディガンを羽織った
「では、出席を取ります。名前を読んだら元気に返事をなさいね。明灯ちゃん」
「はーい、既にBAD入ってまぁ〜す」
あ、そうだメモを取らんと。名前が変だから覚えられん…えっと、あきらあかり
あきらあかり?
「朝稲丈尋くん」
「はい。特に言うことありません」
あさいね…たけひろ。こいつはまあ普通だな
「阿東黑充くん」
「へ〜い」
あとうくろみ…だと?!漢字が分からん
しかも、男じゃないか。ていうか両耳にピアスしてるし、髪は銀髪だし、大丈夫か??
「埜詩空 ちゃん」
「はい」
…ダメだ、漢字が全く分からない。
ていうかついていけない。なんだコイツら
見た目はまとも(一人は変だが)なのに名前がイカれてんだよ。キラキラネームってレベルじゃねぇ
「えっと…この不明さんってのはなんて読めば良いのかしらん」
「先生、不 明です。はい」
いよいよ、おかしさがMAXになったな。
不明と書いて 「ならずあきら」か
ううむ…最近の子はこんな名前が当たり前なのか
「夏目漱石様…じゃなかったえっと」
「先生!夏目金之助です!てかワザとでしょ!」
「ま、まさかあ」
担任は口笛を吹きながらあはあは笑った
そんなこんなで出席確認は終わった。メモには全くもって訳の分からない名前ばかり記された
「さて、全員が揃ったところで残念な知らせがあります。実は本来、担任になるはずだった関口先生は…」
急に担任は目に涙を浮かべた。まさか!?
「ハワイでお金を使いすぎてしばらく帰れなくなってしまいました。なので私が代わりの担任です」
ズゴッ〜〜〜〜ッッッ!!!!
教室の生徒一同ズッコケた
「と、言うわけでしばらくよろしく頼んますわ。
私の名前は経呉刃惢と言います。黒板に書きますと」
「こうなりますわ」
担任は丁寧な字で大きく黒板に"経呉刃惢"と書いた
「よく言われるあだ名は黒豚とか辻斬りとか言われますが、まあ好きな様呼んでください。こいつが許す限りですが」
担任はにこっと笑って、バックから短刀を取り出して教卓に置いた
「それじゃ、15分後まで休み時間にします。自由に過ごしといてください」
担任がそう言って、教室を出るまでみんな震えていた。教卓に置かれた短刀がこっちを見ていた