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お題シリーズ5

貴方を忘れてしまった

作者: リィズ・ブランディシュカ



 ある日、私は突然記憶喪失になってしまった。


 この世界にある不思議な病。


 蝶失病が、そうさせるの。


 科学が世界の中で進歩するようになっても、今だ治療法が分からない病気がある。


 蝶失病は、その中の一つ。


 記憶が光る蝶になって、体から飛び出してしまう。






 異変は。


 最初はささいな事だった。


 鍵を置いた場所とか、昨日の授業の内容だとか。


 でもだんだんと大きな事を忘れるようになっていった。


 そしてついに人まで忘れてしまう。





「僕の事、まだ覚えてるよね」


 ごめんなさい、貴方の事も忘れてしまった。


 目の前で悲しそうな顔をしている貴方。


 思い出してあげたいけど、できない。


 一度失った記憶は二度と戻らないから。


 泣き出しそうな貴方は、袖口で目元をこすった。


 うるみ始めた瞳をリセットするために。


 そして、貴方は手を差し出した。


 貴方の事は何も知らないけど、きっと強い人なんだろう。


 そんな事が一つ分かった。





「はじめまして。また友達から、やりなおそっか。僕としては前の親友よりも、もっと先に進んでみたいところだけど」


 親友の関係がこわれるのが嫌で、前はそこから先に進めなかったんだ、と彼は続ける。


「臆病だった。でも、せっかくだから、この機会に勇気をだしてみることにするよ」


 貴方は臆病なんかじゃない。


 また一つ分かった。


「きっと、人の為に強くなれる、とても優しい人なんだね」






 いつか忘れてしまうとしても、それにあらがおう。


 何度だって、大切な人と関係を結びなおそう。



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