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イツミ   作者: Aju
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プロローグ

 直径700Kmもある小惑星が、総人口20億を擁する惑星シーラとの衝突コースにある。

 発見が遅れたせいで、今や10万Kmの距離にまで迫ってしまっていた。G弾を使うには重力が弱すぎる。進路を変えるためのブースターを撃ち込むには、数も時間も足りない。


 小惑星の上にひざまづくような格好で、1人の少女が取り付いている。宇宙服も着ていない。

 紅い髪。黄金の瞳。白っぽいスーツ姿。

 少女の体が、ぼっ、と光ると、次の瞬間、小惑星は灰のように宇宙空間に吹き散らされてしまった。

 小惑星が消え去った後の宇宙空間には、少女の姿もなくなっていた——。


 その日、シーラではたくさんの流れ星が見られた。

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