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03

メルティの視点


私は実家のレイヨード伯爵家でしばらくゆっくり過ごそうと考えていました。


私が自室でくつろいでいると廊下から声が響いてきました。


「お嬢様、失礼致します。今よろしいでしょうか?」


私はその声に答えました。


「はい。開いています、どうぞ。」


そう言うと自室の扉が開いてかわいらしいメイドの少女が姿を現しました。


「どうかしましたか、レベッカ??」


このかわいいメイドさんはレベッカという名前でかなり長くこの伯爵家に仕えてくれています。


私より年下なんですよね。


小さな体でメイドとして頑張っている姿を見ると本当に微笑ましいんです。


「お嬢様、ディルス王子様とクリストファー子爵様がいらっしゃいました。」


「お父様はいらっしゃらないのですか??」


「はいレイヨード伯爵様は王立魔導図書館へと出仕されております。」


「そうですか。せっかく来て頂いたのに、そのまま帰ってもらうのも悪いので私が会いましょう。貴賓室にお通ししてください。」


「かしこまりました。」


と言ったはいいんですが、まずい緊張してきました。


この扉の先にはディルス様とクリストファー様がいらっしゃいます。


大丈夫です。普通にお話しすればいいんです。


いつも通り冷静にお話しすればそれでいいんです。


大丈夫です。できます。


私は貴賓室の扉を開けました。


長身で黒い髪の男性がクリストファー様です。


いつも私といる時はニコニコ笑顔を絶やさないでいてくれる優しい方です。


「おおメルティ様、しばらく見ない間にお美しくなられましたね。」


「お口がうまいですね。クリストファー様。」


「メルティ様、私は事実を言ったまででございますよ。」


「まあ。」


「メルティ様??お久しぶりです。こちらにお戻りだったのですね??」


その声を聞いて心臓の鼓動が大きくなっていくのが分かりました。


金色の髪をなびかせて長身の整った顔立ちのこのお方こそディルス王子様です。


大丈夫よ私。いつも通り冷静に話せばいいわ。


「はい、いろいろありまして。」


「いろいろとは??」


ふうー、やはり話始めると落ち着いてきますね。


ディルス様はこのバルステム王国の第一王子様です。


現在の国王であるベルタ国王様の長男になります。


ディルス様はとても誠実で、やさしい方です。


クリストファー様は私と同い年なのにすでにアズバード子爵家の当主なのです。


クリストファー様は商才にも溢れた方ですでにご自身で商会を立ち上げて大きな商談をいくつも成立させています。


私はディルス様とクリストファー様にこれまでのいきさつを話しました。


「なっ??ベルタスの奴に婚約破棄をされたのですか??」


「はい。」


「ベルタスの奴、なんという事を!!!メルティ様と婚約できるという最高の栄誉を手にしながらそれを自ら棒にふるなど考えられません!!!」


「クリストファー様、少しおおげさでは??」


「メルティ様、なにを仰います!!!メルティ様と婚約できる男はこの王国で、いやこの大陸一番の幸せ者なのでございます。そのメルティ様を捨てたベルタスは大陸一番のアホでございます。」


「ありがとうございます。クリストファー様はいつも私を褒めてくださいますね。お世辞でもうれしく思います。」


「お世辞ではありません。メルティ様はとても聡明で魅力的な女性なのです。現に魔導書の取り扱いに関してはこの大陸でメルティ様の右に出る者はいないでしょう。」


「そうです。メルティ様は大変深い見識と美しさを兼ね備えておいでですよ。」


ディリス王子様にそういわれると少し恥ずかしくなってきました。


私は話題を変える事にしました。


「そういえばミーシャはユーゲルス公爵家お抱えの魔導士になったのですね。」


「えっ??それは初耳ですね。」


「ミーシャはユーゲルス公爵様から直々にスカウトをされたと言っていました。王家からの宮廷魔導士の話を断ってユーゲルス公爵家を選んだと言っていました。」


「それはおかしいな。」


「どういう事ですか?ディルス様??」


「確かに宮廷魔導士の試験にミーシャは参加をしています。でもそれはミーシャの方から自分を売り込んできたのです。自分は最上級魔法も使える一流の魔導士だと。それで実技試験をやらせてみたら最上級魔法はおろか中級魔法もろくに使えない魔導士だったんです。それでミーシャは不採用になりました。」


「ミーシャは昔からよく嘘をついていましたからね。」


そうだ思い出しました。ミーシャは悪気を感じる事もなく平気で嘘をつく人間でした。


「ミーシャの言葉をそのまま鵜呑みにするのは危険ですね。」


「どちらにしてもメルティ様が気に病む事ではもうありませんよ。」


「はい、ありがとうございます。」


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