猫に優しい人間はなんと五分だけ猫とお話してもよい。
やあ。
猫耳の老人。
『猫の神様』を名乗る男はこう言った。
(お前は猫に優しいので猫と5分だけ話せる能力をやろう)
へんな夢を見たなぁと思い起きると『おきたぞー! ああ! 起きた!』と私の飼い猫であるシャモタンが叫んだのを理解できたのであの神様は本物だったのかと慌てた。
5分しかないのだ。
シャモタンには聞きたい事が山ほどある。
「おい! 見るんだ! 私の肛門を!」
シャモタンが肛門を押し付けてくる。
匂う。
どうやら朝からうんちをしてウンチング・ハイになっているようだ。
「みてくれたか!? 私の肛門を! うんちをだしたらごはんをたーべーるー♪」
「シャモタン。聞きたい事があるんだよ」
私がそう言うとシャモタンは少しだけ目を大きくしてフガフガした。
私が猫語を喋ったのに驚いたのだろう。
「貴様も猫の言葉がやっと分かるようになったか!」
「うん。でもほんの少しの時間だけなんだ。だから話を聞いてくれないか?」
「その前にごはんをたーべーるぅー♪」
ああくそっ、猫と話せるチャンスなのに猫とはなんとマイペースなんだ。
そこもまた可愛いのだけど!
私が朝ごはんを用意している間に色々質問をしたかったが、シャモタンはキャットタワーに登りながら歌い、話を聞いてくれない。
なんと落ち着きのない猫であろう。
「お天気予報ですー♪ お天気予報ですー♪ 晴れのちくもりー♪ もしかしたら、にぃぃわぁかあんめぇー!」
『にわか雨』の部分だけ拳、いや肉球が効いている。
テレビの天気予報で聞いて覚えたのであろう単語を歌詞にして歌っている。
ご飯をあげるとヤムヤムと食べだした。
シャモタンはご飯の時に話しかけたり触ったりするとそれはもう怒る。
もう駄目だな。歌が聞けただけまぁいいかと思った時だった。
シャモタンが私を見た。
「私の名前は『かわいい』というの?」
顔が赤くなるほど恥ずかしい。
いつもシャモタンにかわいいかわいいと言っているので自分の名前と勘違いしたのだろうか?
「君の名前はシャモタンだよ」
「そっちかー。そっちもよくいうよねー」
ヤムヤムヤムヤム。
「じゃあ君の名前は?」
そうかぁ、シャモタンは私の名前を知らないのか。
「サワラ。サワライツキ。と言うんだよ」
「サワラ~♪」
ヤムヤムヤムヤム。
「シャモタンはたくさん寝れて食べれて遊べて毎日幸せ~~♪」
ヤムヤムヤムヤム。
「そうか。シャモタンは幸せか」
『ニャー』
5分経ったのだろう。
シャモタンの『ごちそうさまー』の『ニャー』は『ニャー』としか聞こえなかった。
「シャモタン毎日幸せ」。
それが聞けただけで私は大満足だ。
……
「シャモタン」
「ニャオニャー」
あれからシャモタンは名前を呼ぶと返事をしてくれるようになった。
ニャオニャー……多分サワラと呼んでくれているのだろう。
イツキかな? まぁいいや。
猫を名前で呼び、名前で返してくれる。
こんな幸せなことはない。
猫の神様に感謝だ。
あの神様は『お前は猫に優しいので』と言っていたが、私は当たり前のように彼を大切にしていただけだ。
そんな飼い主は世の中にたくさんいるだろう。
だとしたら神様も大変だ。
猫に優しくしてる君。
次に猫の神様に選ばれるのは君かもね。
ひん。




