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令和百物語  作者: みるみる
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第四十五夜 レイトショー


映画館には、夜遅い時間帯の上映は人があまり来ない為、少しお得な価格に設定したレイトショーというのがあった。


俺も、水曜の夜はいつも仕事帰りに映画館のレイトショーのチケットを購入し、食事とお風呂を済ませてから、映画館に戻って映画を観に行ってたのだ。


今日もいつも通りチケットの購入をしてから帰宅してお風呂と食事を済ませてきた。そして再び映画館へ戻り、売店でコーラとポップコーンを買ってトレーへのせて、受付でチケットを見せた。


やはり今日も小さな上映室へ案内された。そして一番後ろの列の真ん中の座席に座った。


レイトショーの時は多くても数人しかお客さんがいないので、真ん中の席でも隣に人が来る事はないから、安心して真ん中の席を指定してチケットを買ったのだった。


だが‥‥今日は女性客が隣にいた。こんなにたくさんの席が空いてるのに、なぜ俺の隣の席に座るのか?


俺はチケット売り場のモニター画面で、隣の席に誰もいないのを確認してから、この座席の券を買ったのに‥


この女、座席指定を無視してここに座ったのか?だとしたら俺が隣にきてビックリしてるのでは?


そう思い、そっと女が手に持っていたチケットの座席番号を見てみた。間違いなく俺の座席の隣の番号だった。


何だかモヤモヤした気持ちのまま、上映時間がきてしまった。


映画は、俺の大好きな外国の俳優のアクション物だった。映画自体は大したサプライズもなく、普通の話だったが、大好きな俳優の新作が見れただけでもう大満足だった。


さて、映画が始まってからは隣の女の事などすっかり忘れてた。女はどうしただろう?気づくと隣にはいなかった。


やはり女には退屈だったと見える。途中で帰ったか。


俺は上映室を出て、トイレに寄り、駐車場へ向かう為、エレベーターで下へ降りようとした。


「あの、いつも水曜のこの時間に映画を見てますよね。」


急に話しかけられて、振り向いて見ると先ほどの女だった。髪と服装しか見えなかったが、正面から見る彼女は、少し狂気じみた雰囲気を醸し出していた。


黒い長髪、小花柄のワンピース、真珠のイヤリング、真珠のネックレスといった一見清楚な感じの彼女の顔は‥‥


眉墨が真っ直ぐ一直線にひかれた眉毛、鼻筋の両脇に入れられた濃いシャドー、唇からはみ出すぐらいに塗られた赤い口紅‥‥。


ふと視線を感じて視線の先をたどると、彼女の後方何メートルか離れたところに、彼女の両親らしき老人夫婦が僕を見て、ニッコリ笑いお辞儀をして近づいて来た。


チン。


ちょうど下りのエレベーターが来た。女の両親らしき老夫婦が小走りにやって来た。


やばい!女と老夫婦は俺とこのエレベーターに一緒に乗るつもりだ!


俺は急いでエレベーターに乗り込み、さっと閉じるボタンを押して下に降りた。


エレベーターで下に降りた後も、何度もまわりや背後を確認して車に乗り込み帰宅した。


それからは、毎週水曜日のレイトショー通いはもうやめた。


俺はいったいいつから女に目をつけられたのか。女がどうやって俺の買った指定席を知ったのか、あの老夫婦は俺をどうするつもりだったのかは不明だ。


ただ、考えれば考えるほど訳が分からなくて怖くなった。


今後は二度と仕事後に決まったコースをとるのはやめた。万が一、また変な女に目をつけられたらたまったものじゃない。



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