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36 思わぬ再会 2/5

この世界の倫理ってどれくらいのもんなんだろうね。

「それじゃあ、この村は青い石の魔力に打ち勝てずに全滅したってことか」

「物理的に殺したのはぼくたちだけどね」


 ぼくたちはルイたちを連れて一番大きな家を借りることにした。多分、村長の家とかそんなものだろう。

 つい先ほどまで人が生きて生活していたらしいあとが残っていて暗澹たる気持ちになる。

 ぼくたちは荷物を下ろし、霧で濡れた服を乾かしながらルイたちに状況の説明をした。

 ルイたちは霧に遭わなかったらしく、荷物を下ろしただけで床に座り込む。

 ティアナが探して持ってきてくれたタオルで髪と身体を軽く拭いてぼくたちも彼らの前に座った。

 男が小さくくしゃみをする。


「それで、そっちの……その人は……」


 ぼくはちらりとノエルを見る。以前会ったときと変わらずぽやぽやと微笑んでいる。

 ああ、とルイは頷いた。


「ノエルだ。ちょっと事情があって、今は一緒に行動してる」

「ノエル!?」


 ぱっとクロウェシアがノエルを見た。そしてぼくたちを見る。


「ノエルは……ルネロームの姉、で合ってる?」


 あら、とノエルはぼくを見た。


「ルネを知っているの? ふふ、あの子、今なにしてるのかしら……迷子?」


 迷子はどちらかといえばノエルだろう。

 その言葉を飲み込んで、ぼくは肩をすくめた。


雷魔法族サンダリアンの集落に帰ったころじゃないかな」

「アレクにも会ったぞ」

「まぁ、父さまに? 元気にしてらした?」


 首肯すると、ノエルは嬉しそうに手を叩く。


「ノエル! ヘルさまの言ってたノエルってあなたのこと?」


 ぱっとクロウェシアが顔を明るくしてノエルの手を握る。


「へるさま?」


 ノエルはにこにことしたまま首を傾げる。


「……おい、アーティア。なんで魔族と一緒にいるんだ」

「成り行き」

「どんな成り行きがあったら魔族と神族の道連れが出来るんだよ」

「……成り行き……」


 ぼくはルイから目を逸らす。

 どうしたらこんな成り行きが成立するのか、誰か教えてほしいくらいだ。本当にどうしてこうなった。


「そっちこそ、どうしてノエルと一緒に?」

「……成り行き」


 ルイはぼくから目を逸らした。うふふと隣でティアナが笑う。


「アーティアたちもあの青い石を探してるのね」

「え? ああ、うん」

「わたしたちも、それを探しているの。ノエルが回収するって言ってたのを、無理やり手伝うって言ってね」


 ルイたちにノエルを手伝う利があるのだろうか。

 ティアナはちらとルイを見て、またうふふと笑う。


「わたしの呪いをどうにかして解けないかってノエルと交渉したの。青い石を使って、ね」


 ルイはぼくとティアナから顔ごと逸らしている。その耳は赤い。


「……愛されてるね」

「うふふ」

「うるせぇ。危険性があるならやめたっていいんだぞ」


 冗談よ、とティアナはルイの頬をつつく。

 危険性と聞いて、横ではホウリョクとギンが心配そうにティアナを伺っていた。


「……」


 ぼくはじっとティアナを見る。

 ねぇ、と声をかけるとティアナは首を傾げた。


「……ティアナに呪いをかけた魔族って……どんな見た目をしてたか覚えてる?」

「ええと……そうね……あのときは混乱していたけれど……」


 もしかして、とぼくは唾を飲み込む。


「血みたいに赤い髪の、気怠そうな魔族の男じゃなかった?」

「!」


 ティアナの顔色が変わったのを見て、ルイがぼくに視線を寄越す。


「知ってるのか」


 知っているもなにも。


「……そいつの名前はアライア」


 はっとルイは目を見開いた。


「その名前……」

「うん。ぼくの父親に当たる魔族だ」


 以前から引っかかっていたのだ。ティアナに呪いをかけた魔族という存在。

 ティアナの呪いは周りにいるのが誰だろうと攻撃してしまうというもの。

 それはかつてのぼくの姿を見ているようで。

 全く同じというわけではないが、似通っている部分がある。


(というか、誰彼構わず呪いをかけるような魔族がそう何人もいてほしくない気持ちもある)


 今の時世、魔族は簡単に他種族に手出しをしないようにとヘルマスターから命じられているはずだ。

 それなのに、勝手をしている存在。


「多分、ティアナはあいつの実験に巻き込まれたんだと思う」


 ぼくは俯く。

 ぼくが悪いわけではないのはわかっているが、どうしてもティアナに申し訳ないという気持ちが湧いてくる。

 ティアナはぼくの頭をそっと撫でた。


「アーティアが悪いわけじゃないわ」

「……うん」

「悪いのはあなたの父親であって、あなたではない。……そこを間違えると、ルイみたいになっちゃうわよ」


 横でギンが吹き出した。

 ぼくも釣られて頬が緩む。


「そうだね、それは大変だ」

「おい……」

「あら、なにか間違ったこと言ったかしら」

「……」


 ホウリョクも吹き出す。


「これ、一生言われるやつですよ」

「尻に敷かれるんは目に見えとるな」

「そこの二人うるせぇ」


 ルイが長い足でギンを蹴る。ギンは「骨折れたわぁ、慰謝料貰わなあかん~」などと言いながら笑っている。

 ケラケラとホウリョクがギンを指差して笑った。

 ぼくは息を吐く。

 ぽんと男がぼくの背を叩いた。


「青い石を使っての実験だったのかもしれないな。となると、あの石の力を使って呪いを解こうとするのは理に適っている、と思う」


 男の言葉にルイも頷く。


「オレたちはこの石が力を持っているってことくらいしか知らねぇ。知ってる限りでいい、教えてくれないか」


 ぼくと男は顔を見合わせる。

 男はちらとティアナを見た。彼女は風魔法族ウィンディガムだ。当事者でもある。

 ヴァーンに口止めされているが、彼らがノエルと行動している上に青い石と関連している以上、話してもいいと思う。

 ぼくたちが数秒迷った間に、南西の町に子どもと赤子を連れていっていたシアリスカが戻ってきた。


「戻ったよー。ボクが神族だってわかったら、即座に里親まで決まっちゃった☆」

「それはよかった」


 男は胸を撫で下ろす。

 南西の町は神族信仰の傾向がある町だったらしい。無事に子どもたちの行く先も決まって安心した。


「シアリスカ、ルイたちに封印のこととか話してもいいかな」

「そっちの人たちが更に別の人に話さないならいいんじゃない?」


 許可が下りたので、一応他言無用な話だと念置いた上で魔法族の集落にある封印、そして青い石について話す。

 ティアナは特に自分の生まれ故郷にそんなものがあったなんてと驚いていた。

 ぼくはついでに男のことは伏せて、過去に意識の外で人を殺したことがあると告白する。ティアナはだからアライアの名前を出したのかと納得して頷いた。


「アライアって魔族がなにをしようとしてんのかがわからねぇな」

「青い石を使って実験しているのはわかりやがりますが、なんのためかはわからねーですね」

「ちゅーかノエルん親父さんが管理者ってのもわからんわ」

「そういえば、もうすぐ精霊祭ね。……何事もないといいのだけど」

「わたしとしては、そっちの二人が神族四天王と魔族五賢王だってぇのもわかんねーですけど」


 四人がちらとシアリスカとクロウェシアを見た。


「なーんか失礼なこと考えてない?」

「わたしの顔になにかついてる?」


 ホウリョクたちはふるふると首を横に振る。

 まぁいいけど、とクロウェシアは首を傾げた。


「じゃあ、明日はノエル連れて魔界に来てね。あ、アーティアたちにはちゃんとお礼するよ!」

「は?」

「うん?」


 ルイたちが目を丸くする。

 ぼくもいきなりのことに目を瞬いた。


「待て、魔界ってなんだ。おい、アーティア。こいつの成り行きの理由ってなんだ?」

「……ああ、そうか……ノエル探してるって、ヘルマスターがノエルを連れてこいって言ったからだったっけ」

「はぁ?」


 ルイがぼくを睨む。睨まれても、会ってしまったものは仕方がない。


「クロウェシア」

「クロエでいいのにー。なぁに、アーティア」


 クロウェシアの手は未だにノエルと繋がれたままだ。


「もう一度聞くよ。どうしてノエルをヘルマスターが探しているの」


 クロウェシアはこてんと小首を傾げる。


「ヘルさまがノエルを探してる理由? ……さぁ?」


 おい、とルイたちから怒気が発せられる。

 ギンとホウリョクがクロウェシアからノエルを引き剥がし、盾になるように前に出た。いきなり突き飛ばされたクロウェシアは頬を膨らませてギンたちを睨む。


「いたーい。なにするのさぁ」

「よぉわからん魔族なんぞにノエルを持ってかれて堪るかい」


 ぼくは頭を抱える。


「ぼくだって彼女を魔界に連れていかせるなんて了承した覚えはないよ。ただ顔を知ってるからってついてこられただけ。だからぼくを睨まないで」


 ルイは眉間に皺を寄せたままクロウェシアを見下ろす。


「なんだってあのクソ親父がノエルを?」


 きょとんとクロウェシアが目を瞬かせてルイを見る。その顔がぱっと明るくなった。


「あ! もしかして、あなたヘルさまの息子さま!? わぁ、目元がヘルさまに似てるよーな!」

「やめろ、似てない!」


 クロウェシアはきゃっきゃとはしゃいでルイに近付く。

 クロウェシアがルイに気を取られている間に、ぼくはノエルに近付き声をかけた。


「あら、いつかの親切な人……えーと……」

「確か前に会ったときはティアとヴァルって名乗ったかな」


 ぽんとノエルは手を打つ。


「そう……ティア。どうしたの?」

「ノエルは自分がヘルマスターに呼ばれる理由はわかる?」


 ノエルはへにょりと眉を下げる。


「ヘル……マスタぁ……なんだか、懐かしい響きな気がする……」


 ノエルが首を傾げると、稲穂のようなふわふわとした髪が揺れた。

 やがてふるふると首を横に振る。


「ごめんなさい、わからないわ……」

「そう。……ルネロームとアレックスたちのことは覚えているんだよね?」

「え? ええ、妹と父さまよ。ととさまもいるの」


 そのととさまとやらは行方不明らしいが。

 他にもいくつかの話を振ってみる。自分の生まれのこと、役目のこと、アレックスたちがどういう立場であるか、以前ぼくたちに会ったときのこと、抜けている記憶があるかどうか、この世界の成り立ちについて……。

 ぽやぽやとしている割に記憶力は悪くないらしく、それなりにすらすらと答える。


(ルネロームみたいに記憶障害があるのかと思ったけど、そうでもない?)


 ぼくの質問の意図を理解したのか、ノエルは困ったように眉を下げた。頭の回転も悪くない。


「……そういえば、前に会ったときになにかを探してるけどなにかわからないって言ってたよね。それは?」


 ノエルは空色の目を瞬かせる。


「そう……なにかをずっと探しているの……でも、なにかわからないの……ティアはなにか知ってるの?」


 ぼくは首を振る。


「ぼくにはわからないよ。けど、もしかしたらそれは魔界に行けばわかるかもしれない」

「ちょ、こら、ちんちくりん!」


 口の悪いオオトカゲは無視した。

 ノエルがわからないのに、ヘルマスターが彼女を探している理由。


「魔界……」


 ノエルはじっとぼくを見た。ぼくもノエルの空色の瞳を見る。


「そこに……わたしの探しているものがあるの?」


 どうだろうか。正直に言えばそうだとは言えない。しかし、アレックスはヴァーンにルネロームに彼が惹かれたのは当然だと言っていた。それはルネロームがただの雷魔法族でなく、管理者の娘だったからだという。ヴァーンは力が強い故に、その特殊な魔力に惹かれたのだと。

 なら、ヴァーンと互角に戦ったことがあるというヘルマスターにだって同じことが起こってもおかしくはないのではないだろうか。

 とはいえ、それを証明するためにノエルを魔界に無理に連れていくのは気が進まない。

 だってヘルマスターは暇潰しで戦争を起こそうかというやつだ。ノエルに危険がないとは言い切れない。

 ぼくの考えは仮説に過ぎない。

 ぼくはノエルに答えられなかった。

 そもそも、ルネロームのように一度死んだわけでもないノエルにどうして記憶障害があるのだろう。

 なにかを探している、それだけを忘れているのはどうしてだろう。

 悩むぼくの手をノエルがそっと包んだ。温かい体温が伝わってくる。


「ねぇ、ティア。一人じゃ寂しいから、一緒に来てくれる?」

「え、」

「魔界に行ってみようと思うの……駄目……?」

「……ぼくは、駄目じゃないけど……」


 ちらとルイたちを見る。

 ルイは心底嫌そうに、ティアナはいつも通りに、ギンは不満そうに、ホウリョクは拗ねたようにぼくを見た。


「ノエル! わたしにも一緒に来てって言ってくださいよぅ!」


 ホウリョクが我慢出来ないというようにノエルに飛び掛かった。ノエルの首がぐきと音を立てて傾いたが、当の彼女はにこにこと笑ってホウリョクを受け止めている。


「あら……ホウリョクも来てくれるの?」

「一人では行かせねぇですよ!」


 ギンががしがしと頭を掻く。


「しゃーないな、ノエルが行きたいんやったら護衛は必要やろ」

「いや、ギンは呼んでませんよ。まだ」

「おっまえほんまにオレんこと好きなんか? なぁ?!」


 二人の怒鳴り合いのような会話の間に挟まれているノエルの耳は無事だろうか。彼女は変わらずにこにことしている。

 ティアナはちらとルイを見て、ノエルを見た。


「わたしを置いていかないでほしいわね」


 くすりとティアナは笑う。

 その横でルイは頭を抱えた。深いため息を吐いて、顔を上げる。眉間の皺がどこぞの海溝のようだ。


「オレも行く。そのまま別れて約束を有耶無耶にされたら困るからな」

「ノエルが心配だから一緒に行くって言えばいいのに」

「……」


 くすくすとティアナは笑いながらルイの頬をつつく。その指をゆっくり右手で押さえてルイはぼくを見た。


「おまえらが連れてきたんだから、責任持てよ」

「わかってるよ。明日はぼくたちもついていく」


 とはいえ、この全員が束になったところでヘルマスターに適わないのは明白だ。

 ぼくはちらとシアリスカを見る。


「なになに、明日みんなで魔界行くの?」

「そういうことになった。……シアリスカはどうする?」


 きょとんとシアリスカは目を瞬かせる。


「え、行くよ? ボクだけ仲間外れなんて許さないからね!」


 ……少なくともこれでなにかあっても、前回と同じように全滅だけは免れるかなと思った。悪くてもノエルを逃がすくらいは出来るだろう。


(というか普通についてくるのか……行き先、魔界だって言ってるのに)


 クロウェシアは神界には行けないから待ってると男に言ったらしいが。


(まぁついてきてくれる方がぼくたちにとってはいいんだろうけど)


 クロウェシアはお客さんがいっぱい来る! と嬉しそうだ。


「それで、クロエ。明日はどうやって魔界に行くんだ?」


 男が尋ねる。


「明日はどっかその辺に穴開けて行くよ」

「……穴?」

「その辺?」


 その発言に、シアリスカがあっと声を上げる。


「もしかして無理やり通り道を空けようと思ってるの? それやめてよね。あちこちに魔族が穴空けるから、ボクたち神族が塞ぐ羽目になるんだよ。大変なんだからね」

「へぇ、そうなんだ。知らなかった」

「そうだよー。変なとこに穴空けて、そこから人が落ちることだってあるんだから」


 ぷんすこと頬を膨らませるシアリスカがどれほど本気で怒っているのかわからない。

 わかったーと軽い調子でクロウェシアも頷いた。


「じゃあどうしよっかな。この近くの通り道だと……」


 クロウェシアはきょろきょろと辺りを見渡し、窓際に小さな鉢植えの植物が置いてあることに気付いた。

 それを持ち上げて二言三言話しかける。


「……そっか、ありがとー」


 くるりと振り向いたクロウェシアは窓の外を指差す。そちらは北の方角だ。


「こっから真っ直ぐ北に行ったところの谷に魔界へ通じる道があるんだって」

「じゃあ明日はその谷に向かうことになるのか」


 男の腹がぐぅと鳴った。


「……そろそろ晩ごはんにしようか」


 いい加減乾いた髪を簡単にまとめて荷物を見る。

 携帯食料を取り出したところで、クロウェシアが不満そうな声を上げた。


「えぇ? どうしてその美味しくないやつ出すの~?」

「は? だって店がないんだし……というか人もいないし」

「? この家には食料あるでしょ?」

「……」


 ぼくはルイたちと顔を見合わせた。

 確かに、この家には備蓄の食料くらいあるだろう。台所もある。普通の家だから。

 だが、家主は外に転がっている。

 シアリスカも首を傾げている。


「もう食べる人がいないんだから、貰っちゃえばいいのに」

「ね。お肉あるかな。わたしお肉食べたい」

「ボク、ハンバーグ」

「お肉食べられるの……? わたし、鳥のお肉が好き……あ、四つ足のお肉も好き……」


 ノエルまでのんびりと言い出す。いや、ノエルはなにも考えていないだけだろうと思った。食用肉は鳥系でなければ大体が四つ足だ。

 のそりと男がぐぅぐぅとうるさい腹を抱えて立ち上がった。

 どこに行くのかと問えば、台所と答える。


「……ヴァル」

「別に外の惨状は家探しするためじゃないし……食料は食べないと腐るからなぁ」


 まぁそうですけどーと言いながらホウリョクも立ち上がる。がしがしと頭を掻いたルイも黙って立ち上がり、揃って台所へ向かった。

 残されたぼくたちは微妙な表情で顔を見合わせる。

 シアリスカとクロウェシアは呑気に好きな食べ物の話をしていた。



 しばらくして戻ってきた三人は大きめの鍋と食器を持って現れた。

 鍋の中身は一口大に切られた野菜と肉団子のポトフ風スープ。いいにおいがして、思わずくぅと腹の虫が鳴く。


「ヴァルの手際がよ過ぎて驚きやがりました……」

「おれは片腕で料理するルイが凄いと思った」


 どちらも意外過ぎて言葉が出ない。いや、ぼくは男の腕前くらいは知っているけど。

 ホウリョクが皿と匙を配っていく。人数分あったようだ。


「ティアナもそろそろ料理覚えくさってもいいんですよ?」

「わたし、ルイが料理する姿見るのが好きなの」


 ルイが危うく皿を落とすところだった。耳が赤い。


「……いや、ぜんっぜん見てねぇですよね??」

「うふふ」

「うふふじゃねーです」


 微妙な気持ちになりながら食べたが、男たちが作ったポトフ風スープはとても美味しかった。


いざ、再び魔界へ……。

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