主人公は動かない

　太古の昔、神話の時代より生まれている数々の物語。
　それは神々が己の私利私欲にまみれ『そうなるように仕向けた』物語でした。
　神々は退屈で下界の人間たちの動きが唯一の暇潰し。その為に人間たちを使って物語を作っては他の神々にその様子を見せ楽しませていたのです。
　神々は色々なジャンルの物語を作っては見せ、己の退屈をしのいでいました。
　しかし愛の女神である彼女が一万作品目となる物語の主人公として選んだ彼には問題がありました。
　彼はどんな状況にも信念を曲げず、己の生きたいよう生きる、やりたいようやる人間だったのです。
　これは動かない主人公をどうにかして動かして物語を作りたい愛の女神のお話です。