神様の日常〜5〜「ゲーセン転移者?」
不定期掲載ですがよかったらこれからもよろしくお願いします(・ω・*)
創世神ルーシアはいつもの退屈な日々ではなく忙しい日々を過ごしていた。
「メイア!そこもうちょっと左!」
「ルーシア様もうちょっと奥!」
ルーシアとメイアが今やっているのはクレーンゲームである。
「ルーシア様〜これ難しいです!」
「メイア!この煩わしさがいいのよ!」
なぜクレーンゲームにハマったのかと言うと少し遡る。
「メイア〜、暇〜」
「またですか?ルーシア様」
「だってお仕事もないし〜、暇〜」
「でしたら、地球を覗いてはいかがでしょう?」
「あ〜それいいね〜」
ルーシアは地球を覗いて楽しい事を探した。
「う〜ん…!何あれ〜」
「どれですか?」
「これ!」
「地球にも魔法があるのですか?」
「わかんない!」
「遊んでみよ〜」
そんな軽いノリでルーシアは20台ほどのクレーンゲームを出したのだった。
「メイア〜、このクマの取って〜」
「ルーシア様、この像が私は欲しいです」
ルーシア達は中身だけ欲しい訳ではない、この難しい試練の先の報酬が欲しいのだ。
「こんなの無理〜」
「いたずらの神の私でも心に来るいたずらです…」
そんな日々を過ごす2人の前に新たな転移者が現れた。
35歳の男性だった。
「あれ?ここはどこだ?」
「私は創世神ルーシア、あなたは選ばれて別の世界に行くことになりました。」
「そんな…帰れないのでしょうか?」
「残念ながら…」
ルーシアは元の世界に帰れない事を示唆した。
「私はどんな世界に行くのでしょう…」
「不安になる気持ちはわかります…あなたにギフトを授けます」
「…それなら生きていけるかもしれません…」
ルーシアは少し可愛そうになった。
「神様…所でなぜここにクレーンゲームが?」
「あなた知っているの?」
「はい…私はゲームセンターという所で店長もしてましたから…」
ルーシアはここに神を見つけた気持ちになった。
「!あなたちょっとこれ取ってみなさい!」
「いいですけど…」
その男はおもむろにクレーンを動かした。
「これなら…」
「そこだと全然ダメよ?」
ルーシアには男が操作している事を理解出来なかった。
「これでいったかな?」
「え〜的外れよ〜」
「少し見ていてください」
ルーシアが狙ってたクマのぬいぐるみは持ち上がり取り出し口にやってきた。
「……あなた何をしたの…」
「これはタグの所にアームのツメを引っ掛けて取る方法です」
「そんな事出来るの!?」
「まぁ…」
ルーシアは神の力だと思った…自分が神様という事を忘れて。
「次はこの像を!メイアに授けてください!」
「いいですよ…」
「そこですか?」
「まずは確認ですね」
「確認?」
男は取り方のレクチャーを始めた。
「まずアームの確認ですね、アームの掴む強さ、開き具合、癖を見ます」
「同じじゃないの?」
「それが違うんですよ」
「そうなんだ!」
ルーシアとメイアにとって目から鱗だった。
「これは正攻法では取れないですね」
「じゃあどうするの?」
「この場合なら…」
おもむろにアームを操作した。
「それだと私やルーシア様とほとんど同じだよ〜」
「見ててください…」
すると箱物の像は持ち上がった。
「なんで〜同じことしてたよ〜」
「これは箱の隙間にアームのツメを入れて持ち上げる方法ですね…この下に降りる途中で止めるボタンのタイミングが重要です。」
「えっこれ飾りじゃないの…」
そんな事をしている間に男からクレーンゲームの極意を教わった。
「メイア!取れたわよ〜6個目!」
「ルーシア様〜、私はこの大きいの取りました〜」
二人は楽しそうにクレーンゲームを回っていた。
「教わったら取れるようになったわね!」
「はい!これは楽しいですね〜、地球の人が遊ぶのもわかります!」
「あの…私はどうなるのですか?」
「そうでしたわ……」
「ルーシア様…」
メイアはルーシアに目で訴えかけたそして、
「この創世神ルーシアの名において!あなたの異世界行きを無効にします!」
「えっ…でも帰れないと…」
「……行ったら帰れないとは言ったけどまだ途中ですから大丈夫です!」
「ありがとうございます!神様」
「あなたの善行によるものです、これからも良い行いを心がけなさい。」
男は地球に戻った。
「メイア…これでいい?」
「ええ…彼は地球居なくてはいけません!」
「そうね〜、これからが楽しみね」
ルーシア達はクレーンゲームに戻った。
そして地球に戻された男は、クレーンゲームの世界大会で優勝、それからクレーンゲームブームが起こり、有名になった彼は会社を立ち上げ、ユニークなクレーンゲームを世に出して幸せな人生を歩むのであった。