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彼は今を楽しむ

今回やっと主人公の容姿を公開します。

女子含め男子達がどんな顔をしているかは読者の皆様にお任せします。


表現はまだまだ苦手ですが手抜きとかでは無いので!本当ですよ!

 あいつと出会ったのは中学二年の文化祭の三ヶ月前。

 当時、刺激を求めていた俺は友達数人と今年の文化祭でバンドを組んでみよう、という事で計画を練っていた。

 俺がギターボーカル、他がベース、ドラムというのは決まったので放課後音楽室を借り、バンドを組んだことがある先輩に聞いたりしながら練習をしていた。

 他の友達には極力話さず、できれば文化祭で驚かせよう、という事で方針を固めていった。なので先輩達にも口止めをしてもらっていた。

 何でバンドを組んだのか、そう先輩達に聞かれた時、俺は学校生活を満喫したい一心でと言ったが、他の面子は揃ってモテたいから、と言っていたのを覚えている。それを聞いた先輩は、


「それ分かる~!」


 と他の面子とより一層打ち解けていた。それを見た俺は爆笑した。理由は違えど学校生活を楽しみたいという俺の考えと似ているなと思いながら。




 暫く経ち、先輩の教えのおかげでそこそこ演奏できるようになってきた頃、あいつと出会った。


「えっと、あ…中村からお前達がバンドを組むって聞いたんだけど」


 第一印象は目の下に薄い隈が付いた少し鋭い目以外はこれといった特徴の無い、普通の男子。髪はその目を前髪で隠すぐらい伸ばしていたが、寝癖なのか所々跳ねていた。

 身長は当時172cm位の俺より少し低い。

 なんか不健康そうなやつだな、と思ったのを覚えている。


 当時も学校で人気のあった綾ちゃんは女子は勿論の事、男子とも仲が良かった。どうせこいつらの誰かがつい言ってしまったのだろう。あの子の前では俺でも会話に話を咲かせてしまうから。

 取り敢えず、リーダーの俺が要件を聞くことにした。


「そうだけど、どうしたんだ?」

「えっと、ギターを少し齧ってるんだが、俺も入れてくれない?」


 と入団したい事を告げてきた。正直、型が定まってきた俺達の所に新しいやつが来るのは調節に時間が掛かる為ハイリスクなのだが、俺は面白くなりそう、と感じた。


「いいぞ、俺がギターボーカル、他が右からベース、ドラムだ」

「「宜しく~!」」

「よ、宜しく…」


 この時はお互い面識が無かったので、あいつは緊張していた感じだった。


「あ、そういえば自己紹介がまだだったな」

「お、そうだな。俺はドラムの福元 昌吾。」

「ベースの田中 政樹。宜しく」

「ギターボーカルの新福 颯太だ。宜しくな」


「俺は山下 征司って言うんだ。宜しく」


 この後の出来事など予想も出来ず、俺達は演奏に取り組む。因みにあいつのギターは知識が多少あるが本当に齧っていた程度だった。これでギターボーカルの俺が手取り足取り特訓したのは良い思い出だ。

 こうして四人で文化祭を楽しむ為に演奏の練習を必死に取り組んだ。あの時の思いでは俺の中ではかけがえの無い青春の一ページだ。



 ――これが俺とあいつの出会い。

 この時の俺はあいつとの関係が高校生になった今でも続くとは夢にも思わなかった。






 静寂な部屋の中に朝を告げる機械音が流れる。

 その音に俺は重い瞼を開け、布団を捲り体を起こす。軽く肩を伸ばし、朝日を浴びるためベッドから閉まりきっているカーテンを開く。

 心地好い朝日を浴び、ふと部屋に置いてあるギターを見て先程見た夢を思い出す。


(随分と懐かしい夢だったな)


 久しく見なかった彼との出会いの思い出。

 それを振り返り少し笑みを浮かべた。


(まさかあいつがあんな事になるなんてな…)


 征司の悩みは恐らく俺だけが知っているだろう。あんな内容、女子相手には相談出来る筈がない。

 文化祭前のバンドの練習で征司と結構仲が良くなった俺は真っ先に相談された。

 浅い付き合いになると思っていた俺は相談を受け、俺は嬉しいと感じた。あんな悩みを持ちった彼が、最近知り合った俺に頼ってきてくれた事が。


「さて――」


 一息吐き、寝間着を脱ぎ壁にかけてある制服に手を伸ばす。

 着替え終わり、母が作ってくれた朝食を食べに一階へ降りる。


「おはよう、母さん」

「おはよう」


 母と挨拶を終え朝食を摂り、少しテレビを見ながらゆっくりする。

 そして何時もの時間になり玄関で靴を履き扉を開ける。


「行ってきま~す」

「行ってらっしゃーい!」


 こうして何時ものように高校生活が始まる。

 あいつの悩みを知る自分としてはごく普通の高校生活ではないとは思うが…。

 今は刺激があって退屈しない。むしろどうすればいいか悩むのに楽しみを感じている。だがそれが最高に面白い。

 あの時、征司と知り合えて良かった――



 学校生活に刺激を求めた彼は一人の少年の悩みによって新たな刺激を受けた。

 今のところ少年と彼のみぞ知る悩みだが、彼は少年の為に今日も思考する。

 親友の困る姿は見ていて面白いものだが、今後を考えると何とかせねばと彼も常々思っている。


「さて、最近のあいつはなんか雰囲気暗いからな。今回はどんな悩みなのやら」


 願わくば、解決した先も刺激がありますように。

 解決したとしても親友と今よりも笑い合えるように。


 ――彼は今日も日常を楽しむ。






「綾の妹泣かしちゃったんだが」

「はああぁぁ!?」


 さらに悩みの種が増える事になるが…。





最後まで読んで頂きありがとうございます。白熊です。


今回は出会いのお話でした。

彼なりに今を楽しんでいる、という解釈をしていただければ幸いです。


前回、主人公が回りを巻き込んでいくといいましたが、もうしばらくお待ちくださいー!

楽しみにしていた方、本当にすいません!

書きたいことが次々にうかんできたもので…


それでは気を取り直して、

次回もお楽しみに!

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