ニ度目の入学式
どうも、白熊です。
ちなみにこれ、ラブコメみたいなのにする予定ですのでご了承下さい。(ハーレムとかそんなのではありません)
それでは第1話をどうぞ!
高校入学日。
学校周辺に植えている桜が春風によって舞う様は、最近までは中学生だった彼ら彼女らの高校入学を歓迎するようだ。
そんな暖かい光景は俺にとっては目の毒なのだ。
道を歩く彼ら彼女らはこれからの高校生活に楽しみや不安といった様々な表情をしているであろう。
そんな新入生を見る在学生はどんな子が入学したのか、面白そうな子はいるだろうか、といった観察をしているであろう。
だが俺にはその表情が解らない。…女子に限っては。
今自分の視界には沢山の人が写っている。それはもう沢山と。しかし、至るとこにはモザイクのような靄がかかっている。
そんな光景に俺は――
「うえぇ…」
酔ってしまっていた。今でそうなってしまえば入学式なんて地獄だ。体育館に行けば恐らく吐いてしまうかもしれない。だから俺は――
「…今年も保健室行こう」
高校二年生 山下 征司
俺は去年に引き続き、人生でも数少ない入学式を保健室のベットの上で過ごした。
「今年も入学式は保健室に行ってたのな」
「あぁ、さすがにな」
二年生になり、これから一年間お世話になる教室の自分に割り振られた机に突っ伏す俺の前の席に座り、そう話しかけるのは中学ニ年の頃からの友人、新福 颯太。
こいつはいわゆるイケメンの類いのやつだ。髪は中学まで黒髪だった短髪を高校デビューと言い茶髪に染めている。顔自体も整っているしぱっと見は爽やか青年だ。
――説明しておいてなんかイラッてくるな。
「いい加減その体質も治らんのかねぇ」
「治せるんだったら苦労はしてねぇよ…」
こいつは俺の女子の顔にモザイクのような靄がかかって見えないという体質を知っている唯一の友達。
当時の俺はこの体質に酷く悩まされた。こいつに相談した時はそんな馬鹿な、と信じてはくれなかったがあるきっかけで理解してくれた。そんな颯太には今までに何度も助けてもらった。感謝してもしきれないぐらいだ。だから俺は高校生の内にこの体質を治し、こいつに恩返しをしたいと思っている。
実はこの体質、不思議な事に歳の近い女子にしか靄はかからない。なので先生や親、他の大人たちは普通に見える。
「まじでこの先治らなかったらどうしよう。まじでやばい。まばいわ」
「お前次第だな。後、その略しかたダサいぞ」
「…まぁそれはおいといて、今年もあいつと同じクラスかぁ」
「ん?あぁ、お前の体質の原因ちゃんか」
「去年はなんとかなってたけど、今年は――」
どうしたもんか、と言おうとしたところに教室の扉が開く。
ついついその先に視線を送る。するとこちらと視線があったのか、扉を開けた人物がこちらへ歩いてくる。
「もう、征司君!入学式の時何処行ってたの!?」
と問いながら顔を近付けてくる。
どんどん顔を近付けてくるものだから、俺の視界はほとんどぼやけている。
「ほ、保健室に行ってたんだ。気分が悪かったからさ」
少しどもってしまった俺は悪くない。だから横で俯きながら肩を震わせている颯太、後で覚えておけ。
「去年も保健室に行ってたじゃん。一緒に行こうって行ってたのに~」
恐らく不貞腐れているであろう目の前の彼女は俺の幼馴染み、中村 綾。ちなみに俺の体質の原因。
颯太曰く、中学の頃よりずっと可愛くなっているらしい。俺には肩まで伸ばしている青みがかった黒髪しか解らないが。常に周りを笑顔にしている彼女はクラスの人気者だ。聞くところによると同級生はおろか先輩にまで人気があるらしい。中には狙っている男子も多い、だそうだ。
そんな彼女をじっと見ていたせいなのか、
「ん?顔に何か付いてる?」
「あ~すまん。何でもないぞ?」
ぼやけてて顔がよく見えません!なんて言えないわな。
「ふ~ん。まぁいいや。颯太君となんの話してたの?」
「男同士の会話に女子が入ってはいけないぞ?綾ちゃん」
「そうそう、だから早く席に戻りなさい。しっしっ!」
そう言い俺は厄介者を退かすジェスチャーをとる。
「んなー!征司君も颯太君もひどいな!まぁそろそろ予鈴鳴るから戻るけど!」
「じゃぁ俺も戻るな」
「おう、また後でな」
と言いながら二人はそれぞれの席に戻る。少しして予鈴が鳴り、このクラスの担任、小倉先生が入ってくる。
「今日は入学式です。授業は午前までだけど、午後は先生達のお世話にならないようにしなさいね」
今日から二年生。俺は同級生や先輩の女子の顔を誰一人見れていない。そして今日は新入生も来た。
憂鬱な気分になりながらも、俺は今日を過ごしていく――
最後までよんで頂きありがとうございます。
文法表現とかまだまだ分からない事だらけですが次回も頑張って書きますので宜しくお願いします。
次回もお楽しみに!