体力テスト
「む、来たか」
無茶苦茶広いグラウンドに着くと、そこにはスタイリッシュなお姉さんが居た。
「はい、先生。連れてきました」
「うむ、ご苦労だった、上田。貴様が浅田か?」
「あ、はい……んん?」
なんだかこの人見たことある。この美人な感じ。そして若干高圧的なしゃべり方。
俺が悩んでいると、女性は頭を下げた。
「すまなかった」
「え、は!?何が!?」
謝られても理由がわからない。この学校で謝られるべきことなんて……そう、股間に弾ぶちこまれた時……。
「ああっ!あのときの!」
「あれは完全に私が悪かった。新入生が来ていることなど分かっていたのだから」
そう言って彼女は顔を上げる。俺と純、生徒組はただおろおろするばかりだった。
「……ん?つーか、先生あのとき銃を持って……」
「さて、ではこれから行うことを発表する」
華麗なスルーだった。
行うことと言われても、先生の周りに散らばっているあれこれを見ればなんとなく分かる。
ストップウォッチ、記録用紙、なんか重そうな器具、体重計……etc。
学校の定番だ。
「では、これより体力テストを行う」
「あれ、そういえばクラスメイト達は?」
「奴らは貴様が寝ている間に終了した。残っているのは貴様達だけだ。では、受けとれ」
先生は俺たちにリュックを渡した。
「うわっ、なんですかこれ。重……」
「中には何が入っているんですか?」
「土だ」
「へえ、土……土?」
リュックの中を確認してみると、確かに土だ。それも大量の。重くすること自体が目的かのような重さをしている。
「これで……な、何をするんですか?」
純が恐る恐る聞いた。
すると、先生は少しだけ口もとを緩めた。
「まずはこれを背負って、5kmのランニングだ」
「5キ……!」
ただ5km走るだけなら特に問題はない。きついが、中学生のときにも授業でそれくらい走っていた。
ただ、このリュックを背負うとなると話は別だ。
「……先生。このリュック何キロですか?」
「教えてほしいか?聞かない方がいいと思うが」
「……がんばります」
「ちなみにこれが終わった後は80kgの重量上げ、各種柔軟、このリュックを背負って腕立て腹筋、立ち幅跳びだ。先程も数人倒れたので、十分に準備体操をするように。給水は種目の間に行ってよいので、したければ私に言うこと。何か質問は?」
「……前の人たちは何時間かかりました?」
「一時間では終わらないと言っておく。始め」
感想。この世の地獄でした。