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ただいま悪霊中   作者: 吉樹
第1章 『転生の行きつく先』
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プロローグ

 ふわふわふわと、漂い行く。

 目的もなく、行き過ぎる。


 最初こそ、ちゃんとした記憶があったのに。

 薄れゆくのか、思い出せなくなってくる。


 私はだあれ?

 もうだれでもないよ。


 あとはただ、真っ白に、まっさらに、きれいに消えていくだけよ。


 名残惜しいけど、仕方ない。

 なんで名残惜しいのかもわからない。

 自分という記憶が曖昧に。


 ふわふわふわと、流れゆく。

 もう思い出せないあの日々を。

 砂のように零れ落ち。


 微笑み合う、あのふたりの姿さえもが消えていく─


 ハッとして。

 その記憶をつかみ取る。


 真っ白だった空間に。

 黒いシミが生まれていく。


 ──許せない──


 ──許しちゃいけない──


 声がする。

 誰の声だろう・・・


 ・・・そうだ。

 これは、"私"の声だ。


 薄れていた記憶の断片が、繋ぎ合わされていく。


 ──このまま終わってたまるものか──


 私は・・・


 あいつらに・・・


 復讐しないと──


 世界が、明滅する。


 ──気が収まらないいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!


 世界が、暗転した。


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