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89 私の漫画の知識はすごいのだろうか?

私が一通り新谷夫妻の素晴らしさを語り終わったところで、浩二さんが口を挟んできた。


「麻美の知識が漫画に関してはすごいことはよくわかった。これじゃあ歴史も詳しくなるのも頷ける」

「そう? 普通じゃないの?」

「これが普通だったら俺はどうすればいいんだ!」

「それは興味の方向性の違いでしょ」

「だから、そこで変に悟るな! それよりも、そんな男受けしそうなものより、女性にも人気のあだち充みたいなものは読まないのか」

「だから、言ったよね。少年誌の週刊誌は網羅していたって! もちろんあだち充のタッチもみゆきも読んでいたわよ。というか、夕陽よ昇れ!! から読んでいるのよ。あと、ナインと泣き虫甲子園もそうでしょ」

「ちょっと待て。やはりそれはおかしいレベルだ。なんで、そうスラスラ出てくるんだよ」


浩二さんが言ってきたけど、おかしいのかしら? 好きな作者で読んだことがあるものなら、大概覚えているのに。


「好きだからじゃ、納得できないかしら」

「納得できないレベルだと言っているんだよ。じゃあ、他の漫画は。少年誌では何が好きなんだ?」


(そのネタを振るの? まあ、いいけど)


「えーと、じゃあ、あだち充がサンデーだから、帯をギュッとね!、究極超人あ~る、機動警察パトレイバー、八神くんの家庭の事情、YAIBA、星くずパラダイス、うしおととら、らんま1/2、でしょ。それから、ジャンプはキャプテン翼、北斗の拳、ドラゴンボール、CITY HUNTER、聖闘士星矢かな。ジョジョの奇妙な冒険も気にはなるけど、ジャンプを買ってまで読みたいとは思わないし。マガジンはあんまりないけど、オフサイド、風のシルフィード、THE STAR、シュート、スーパードクターK、ミスター味っ子もそうだったかな? あとは何があったかしら?」


名前を憶えている作品を片っ端からあげてみる。名前が出てくるのだから、好きな作品なんだよね?


「・・・本当によく出てくるな」


浩二さんは呆れ半分関心半分という感じに呟いた。もしかしたら、これで嫌われてしまうのだろうか。


「それで、今言った作品は全部持っているのか」

「ううん。持っているのは、帯をギュッとね!とキャプテン翼とTHE STARだけよ。そこまで買い集められないもの」

「それなら、タッチを持っていっても重なることはないのか」


(・・・ん? いまなんといいまして?)


「それって、浩二さんも漫画を読むの」

「もちろん読むぞ。今は買ってないけど、3年くらい前まではジャンプは買っていたからな」

「そうなんだ」


私はホッとした。つい本気で語ってしまったから、引いてしまったのかと思ったもの。


「それで、麻美はこれからも漫画を読むのかい」

「う~ん。それなんだけど、今はそれほど読みたいと思わないのよね。完結してないものは続きが気になるから買うけど、新しい人を開拓する気はないかな」


そう言ったら、浩二さんがクツクツと笑い出した。「開拓ねえ」と呟いたから、それがツボにはまったみたい。


「まあ、麻美がそれでいいなら、俺は何も言う気はないから。好きにしていいよ」

「本当! じゃあ、パトレイバーを買ってもいい? サンデーを読まなくなってから、続きが気になっていたのよ」


私は勢い込んで言ったら、また浩二さんは笑い出した。「いいけどな」と言って笑っている。


「えーと、じゃあ、浩二さんは漫画なら読むの?」

「まあ、そうだな。でも、それほど読みたいものはないのだけどな」

「あだち充は好きなのよね」

「ああ。だけど、どちらかというと、タッチだから買ったんだよ。そうだな、俺はスポーツ漫画の方が好きかな」

「スポーツ漫画ね」


そういえば部活はバスケ部だったと言っていたのを思い出した。


「じゃあ、もしバスケットの漫画があれば、浩二さんは読むの?」

「そんな作品があれば読んでみたいけどないだろう。大体漫画になるのは野球にサッカー、バレーくらいか」


そうか、今はジャンプを買ってないのなら知らないんだ。


「あるわよ」

「何が?」

「バスケ漫画」

「えっ、あるの?」

「SLAM DUNKという漫画がジャンプで掲載されているのよ」

「本当に?」


しばし無言で車を走らせる浩二さん。そして、ある交差点に来たら右折の車線に入った。聞いていた友達の家に行くにはまだ真っ直ぐのはずだ。なので、どうしたのだろうと浩二さんの顔を見つめたら、私の視線に気がついた浩二さんに言われたの。


「少し寄り道」


右折して500メートルくらいのところに書店があった。そこの駐車場に車を停めた浩二さん。車を降りたから、私もついて行った。


・・・そして、ホクホク顔で車に戻った浩二さんの横で、私はつい呆れた視線を向けてしまった。現在出ている巻数を一気に大人買い。


うん、いいのよ、別に。好きなんだものね。でもさ、今買わなくていいじゃない。これから友達のところに行くのだもの。その後だって、明日だっていいはずよね。


もしかして浩二さんって意外と子供っぽいところがあるのかしら?


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